ACT.X-3 ※ 【某診断メーカーより】


 女が目を覚ますと、そこは知らない空間だった。十畳ほどの部屋にはソファ、テーブル、ベッドと、生活に最低限必要なものが配置されている。ソファの正面にはテレビが、ベッドの隣にはシャワールームに続くような扉も見える。目覚めたばかりの女、サタンはソファに座って、やけに大きなテレビと睨めっこをしていた。真っ暗な画面に自分が映っているのを見つめながら、女、サタンは呟いた。


「……ラブホ?」


 独り言に反応したのは、ソファの後ろ、彼女の死角に立っていた一人の女だった。


「ラブホだよ! さっきベッド見てきたけど、ゴムあったしね!」

「!? ラッキー!?」

「サタンとラブホ来れるとか夢みたいなんだけど!」

「きっっっっっっっっっっっっっっっっっっっおはよう、ラッキー」

「壮大な本音を飲み込んだよね、今」


 何が悲しくて、よりにもよってこの変人とそのような場所に来なくてはいけないのだろうか。そんな疑問を抱きつつ、サタンは吐きそうだとでも言うように、手で口を覆った。

 ちなみに、サタンはラッキーと二人きりだと分かっていたなら、わざわざ挨拶などしない。もしかすると、他にも誰か隠れているのではないかと疑ったのである。


 そもそもこのような場所にいること自体おかしいのだ。ファントム内なのか、そこから疑わしい。

 ぐるりと部屋の中を歩き回り、とにかくラッキー以外の人間と、もう一つなくてはならないものの存在を確認できないまま、サタンはソファに舞い戻った。


「で。出口どこなん」

「あはは! ないよ」

「何わろとんねん」


 サタンは小ぶりなガラス製の灰皿を掴むと、メリケンサックのように用いてラッキーの鳩尾にめり込ませる。聞いたことのない呻き声を上げて蹲るラッキーを確認すると、小さくため息をついた。


「ええ加減に」

「ちょ、ちょっと待って、私もサタンと同じだから」

「同じなんて種族と性別くらいやん、キモいこと言わんといてくれる?」

「そんなに遡るほど私のこと嫌いなの!?」

「ホンマに意味がわからん。説明してくれる?」


 それまでの経緯はどうであれ、サタンが自分を頼ってくれた。それが余程嬉しかったのか、お任せあれと言わんばかりにラッキーは張り切った。自身の拳で軽く胸を叩くと、サタンの拳(灰皿)がラッキーの胸骨を襲う。


「どぅっ!?」

「叩き足りないかと思って。手伝ったんよ」

「いやしなくていいけど!? 普通に痛いけど!?」


 サタンは不思議そうな表情をしたままラッキーを見つめている。煽られていると自覚しながらも、女は痛む胸をさすって本題に入った。


「あのね、私達、閉じ込められちゃったんだよ」

「……はぁ?」

「いやホントだよ。見てよ、あそこ」

「ん……?」


 ラッキーが指したのは、ソファから見て左の壁。そこは何もない、ただの壁である。家具を置かれることもなく、すっきりしすぎているような印象を受けるが、ただそれだけの空間だった。

 しかし、視線を上げると、壁には電光掲示板のような何かがついていた。


「なんよ、あの駅のホームにありそうなのは」

「さっきね、サタンが起きてからのお楽しみって出てたんだよ」

「嘘やん」


 口にしつつも、サタンは心の何処かでは理解していた。

 ラッキーがこの状況で嘘をついていないであろうことを。


「ホントにそう思う?」

「……はぁ。で、私が起きてからしばらく経つと思うけど?」

「それは私に言ってもしょうがないじゃん!? 私だってまだかなまだかなーって思ってるよ!?」


 二人の意識が覚醒したにも関わらず、始まろうとしない何かにサタンが苛立ちを感じ始めたころ、電光掲示板はやっと動き出した。

 スロットのようなそれは文字が流れている。


【サタンとラッキーは     と出られない】


「いや、いや、嘘やん」

「と出られない? え? 私達、何させられるの?」


 スロットが止まると、サタンは頭を抱え、ラッキーは楽しげに悲鳴を上げた。


【サタンとラッキーはハグしないと出られない 30:00】


 電光掲示板には確かにそう書かれていた。閉じ込めた人間は一体何がしたいのだ、サタンは疑問を口に出すこともなく、ただ天井に近い壁を睨んでいた。

 ラッキーはその理由を考えようともしないらしい。ニコニコしてサタンの隣、ソファに腰掛け、手を広げている。それを見たサタンはすぐに灰皿を構えた。


「いやそれ使うのやめよう!?」

「身の危険を感じたんよ」

「私も現在進行系で感じてるよ。それ置いて」


 ラッキーはサタンを宥めながら、目を見つめる。そうしてサタンがハグに応じるメリットについて語り出した。


「サタンだって早くこんなところから出たいでしょ。よくわかんないけど、制限時間は三十分らしいし。早く終わらせて普段の生活に戻りたくない?」

「普段の生活とかどうでもいいんやけど、こんな密室にラッキーと二人でいるのは確かに嫌やな」

「確実に私の心抉ってくるの何?」


 ラッキーはショックを隠せなかったが、最終的にここにいるべきではないと同意を得られたので良しとすることにした。

 ね? そう言って両手をいっぱいに広げると、サタンに催促してみる。


「でも誰かの思惑通りに動くのはごめんやわ」

「もう! こんなの早く終わらせようよ!」


 強引に抱きついてしまえばいいものを、これ以上サタンに嫌われることを恐れたらしいラッキーは、磔のように手を広げ続けるのであった。


「はぁ、分かったわ。じゃあ、ちょっとだけ」

「うんうん、それでいいから」


 そう言ってサタンはラッキーに抱きつき、すぐに離れた。触れ合った時間は一秒にも満たなかったが、掲示板の真下の壁がゴゴゴと反応して見せた。


「あ、開いたやん」

「ねぇ今のノーカンでしょ!? ノーカンにして! え!? ひどくない!? 私、両手広げっぱなしだったんだけど!?」


 ラッキーの訴えも虚しく、道は開かれた。サタンは喚くラッキーを尻目に立ち上がり、颯爽と光の中に吸い込まれるように歩いていった。


「あ、待ってよー」

「どういうことや……」

「え? あ、あー……」


 二人が部屋を出た先には、全く同じ間取りの部屋がもう一つ用意されていた。つまり出口は出口兼入口だった、ということになる。

 置かれている家具も全く同じで、ご丁寧に同じ位置に電光掲示板が据え付けられていた。


 電光掲示板のルーレットが回り、サタンとラッキーはそれぞれ「待って」「それは無いやろ」等と声をかけた。二人の言葉を無視するようにルーレットは止まる。


【ラッキーとサタンは どちらかの目を抉らないと出られない 60:00】


「さっきと打って変わってエグすぎない!?」

「私も本当はこんなことしたくないんやけど、どうしてもっていうなら……ラッキー」

「なんで自然と私の目を抉る方向で話が進もうとしてるの!?」


 ラッキーは抗議の声をあげるが、彼女を無視してサタンは部屋の中を探索し始めた。使えそうな道具がないか、ベッドの周辺を特に念入りに探っている。


「もっとこのお題に疑問持たない!?」

「しゃーないやろ。別に死ぬわけでもあるまいし」

「嫌だよ! っていうか下手したら死ぬよ! いくらサタンの頼みとはいえ無理だよ!」

「なんでや。私のために爪剥いでくれたやろ」

「爪はまた生えてくるじゃん! 目と違うじゃん!」

「目もそのうち再生するやろ」

「サタンの中の私って何!?」


 ラッキーはサタンの手首を掴むとソファまで移動する。サタンの肩を両手でぐっと押して強引に座らせると、二人で向かい合うようにラッキーも腰を下ろした。


「あのさ、私とサタン的なものを用意して、それに目を設定して抉ればよくない?」

「意味が分からん」


 ラッキーはテレビの横に置かれているリモコンと、ベッドサイドに置かれているある物を手に取ると、再びサタンの隣へと戻った。


「このテレビのリモコンが私で、このコンドームがサタンね」

「他にもっとあったやろ」


 サタンは呆れた表情で四角くて薄っぺらいそれを見つめるが、ラッキーの表情は真剣そのものだった。


「……リモコンの目ってどこだと思う?」

「狂ったんか?」

「やっぱり電源ボタンだよね、一番重要なパーツだし」

「いや、それを言うなら電源ボタンは脳やない?」

「脳は中にある基盤とかでしょ」

「妙に納得できる返しするのやめぇや」


 サタンはこの馬鹿げた会話を終わらせるべく、電源ボタンに爪を立てた。


「あぁ痛い痛い!」

「いやラッキーは痛くないやん」

「リモコンラッキーの声だよ」

「リモコンラッキーってなんよ……まぁええわ」


 赤くて一際大きなボタンに爪を立てて力を入れると、それは存外簡単に引きちぎることができた。

 ボタンが取れた数秒後、電光掲示板の真下の壁が先ほどと同じように開き、サタンとラッキーは口をあんぐりと開ける。


「嘘やろ」

「ダメ元だったけど、やってみるもんだね」

「っていうか迷ってたな、扉開ける方も」

「まぁリモコンだしね。さってと、今度こそ行こ」


 ラッキーは立ち上がり、サタンに手を伸ばす。サタンは当然のようにそれを叩き落として自力で立ち上がった。

 そうして「ひどくない!?」と抗議するラッキーの声を背に歩き始めた。開かれた壁を抜けると、そこにはやはり同じ光景が広がっていた。


「いつまでやるん!」

「痛いよ!」


 耐えきれなくなったサタンはラッキーの足を踏み付けつつ、電光掲示板に目を向ける。二人は憔悴しきった表情でスロットが止まるのを待った。


【ラキサタはどちらかが愛を叫ばないと出られない 80:00】


「もうその略し方が不本意やわ」

「言うと思った」


 ラッキーは肩を落としてサタンの発言にコメントする。ラッキーは立ったままだが、サタンはソファに座り、どうしよと呟いた。


「これは簡単じゃん! 座るまでもないよ」

「そうやろか」


 サタンは覚えているのだ。ラッキーもまた、自分と同じように一筋縄では人を愛せない人間であることを。そんな人間が叫ぶ愛とやらで、合否を決めている誰かが満足するだろうか。


「サタンー! 愛してるー!」

「うわうっざ」


 サタンは心底迷惑そうに呟くと、壁を見た。懸念していた通り、道は開かれない。厄介なお題のようだと、電光掲示板を見つめていると、ラッキーがもう一回と言い出した。


「なんべんやっても同じよ」

「いや、今度は自信あるから」

「アホちゃう」

「サタンー! の鎖骨愛してるー!」

「きっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ」


 その時、なんと壁が動き出した。サタンは発言しようとしたことを飲み込んで、ラッキーに「やるやん」と告げると、開かれた壁の方へと歩き出す。


「いや待って! 今またキモいって言おうとしたでしょ!?」

「さっきのキツいって言おうとしただけだから”また”っていうのは不適切や」

「同じような意味じゃん!」


 サタンはラッキーの言葉を受け流しながら開いた壁をくぐると、もう驚くことすらしなかった。むしろこれほど同じ部屋が連続して続いている建物の構造を不思議に思う気持ちしか湧かない。ラッキーも慣れたもので、もう一度何かさせられるということを即座に受け入れ、電光掲示板を見つめていた。


【サタラキはハグしないと出られない 50:00】


「またやん」

「サタン攻めだね」

「ほんまにキモいからそういう言い方せんといて」

「私が言ってるわけじゃないもん」

「ほんまにキモいからそんなこと言われても」

「ほんまにキモいからって言いすぎ!」


 サタンは腕を組んでその場に立ち尽くしていたが、大きくため息をついて横からラッキーに抱きついた。突然の抱擁に硬直する女の反応を無視して、サタンは壁を見つめる。


「……開かんやん!」

「痛いよ! 私悪くないじゃん!」


 一向に開かない壁に痺れを切らして、サタンはラッキーの腹部に頭突きをかます。ラッキーはこれ以上の攻撃を防ぐために、ようやくサタンの体を抱き返して体を密着させた。すると、ピッという音を立てて、電光掲示板のタイマーが作動した。


「10:00ってなに!? あ、減ってく……」

「まさかとは思うけど、十分間こうしてろってこと……?」

「あー……まっ、私は大歓迎だけどね」

「……」

「せめてなんか言ってよ」


 サタンはげっそりしながら、ラッキーの腕の中で衰弱していた。ラッキーはサタンの体を揺さぶり、懸命に話しかける。今にもずり落ちて地面に倒れそうな体を支えながら、ラッキーは言った。


「いま倒れたらカウント最初からになっちゃうかもよ!?」

「それはあかん」


 しゃきっと体勢を持ち直すと、サタンはラッキーの細い体を強く抱いた。数字が減っていくのを確認しながら、ただ息をする。時間の流れが妙に遅く感じた。本当にこんな馬鹿げた体勢で十分も過ごさなければならないのかとうんざりしていると、ラッキーが零した。


「サタンでも暖かいんだね」

「それはこっちの台詞やわ」

「私はぽかぽかでしょ」

「それはおつむの話やろ」

「ひどくない!? 離すよ!?」

「離したら……どうなるか分かっとるよね?」

「う、嬉しいような、悲しいような……」


 ラッキーは複雑な気持ちに見舞われたまま、サタンの体を抱き続けた。時間は緩慢に流れる。ラッキーがサタンの首に顔を埋めようとすると、腕を噛まれ、妙な格好のまま悲鳴を上げることになった。

 そうしてやっとカウンターはゼロになり、扉が開かれたのである。


「……やっと開いたわ」

「あれ? 今までと違わない?」


 二人が開かれた壁へと駆け寄ると、部屋の外にはだだっ広い真っ白な空間があった。おそるおそる足を踏み入れて見ると、空間の壁に添うようにクレとエラーがあぐらをかいて座っていた。


「あ、二人とも出てきたんだ」

「エラー……クレも……これは一体……?」

「さぁ? なんかどちらかが泣かないと出られない部屋に入れられたよ」

「なにそれ。どうやって出てきたの?」

「え? 普通にキツめにセックスした」

「あぁ……」


 普通とは。サタンはそう言いたくなったが、明らかに憔悴しているクレを見ると口にする気にはなれなかった。ラッキーはというと、そのお題が自分達に回ってこなくて良かったと静かに胸を撫で下ろしていた。

 クレは赤い目をこすって、正面にある壁を見つめている。ラッキーがその視線を辿ると同時に、エラーが言った。


「多分、あの扉からエドが出てくるんじゃない?」

「かもしれないね。二人は他にどんなことをさせられたの?」

「え? それだけだけど」

「そうなんだ」


 言いながら、サタンはラッキーの足を力いっぱい踏んづけた。


「痛い!!! 私は悪くないじゃん!!!」

「二人は何個あのワケ分かんないお題をやらされたの?」

「四つだよ」

「うわ……」

「しかもその内一つは内容かぶってたし」

「なんか腹立つね」

「うん」


 そのとき、件の扉から、エドとムサシが出てきた。顔を真っ赤にして、エドに至っては言葉にならない声を発して呻いている。


「何やらされたの?」

「うっせぇ! ちきしょう! なんなんだよ! お前らもやったのか!?」

「何を? 確かに、私達もへんてこなお題出されたけどさ」

「裸踊りだよ!!!!」


 それを聞いた四人は一斉に吹き出した。あのエドが裸踊りを。そう思うと笑わずにはいられなかった。恥ずかしそうに顔を伏せるムサシには悪いが、面白いものは面白い。エドはあからさまにイライラしながら四人を睨みつけていた。


「あたしが何したってんだよ! マジで意味わかんねぇぞ!」

「いや、エドさんは色々やらかしてるじゃないですか。それよりも可哀想なのは私ですよ。なんなんですか、自分で言うのもなんですけど、ファントムの中じゃかなり大人しく生活してますよ」


 ムサシが言うことに、誰も反論はしなかった。もしエドに巻き込まれただけならば、彼女の言う通り、ムサシはこの六人の中で最も可哀想な女と言って差し支えないだろう。


「裸になるだけならまだしも……踊りって……二人ともそういうの得意なようには見えないけど、どんな踊りをしたの?」

「あ? 適当にさっさってやったんだよ」

「さっさって何!? もしかしてブレイクダンス!?」

「そんなワケないじゃないですか、頭がブレイクしてるんですか?」

「ねぇサタン! ムサシちゃんの当たりが妙にキツい! ひどいよね!?」

「ムサシ、ラッキーのことは相手にしなくていいの。分かる?」

「もっと酷い!」

「分かりました」

「まさかの了解!?」


 これ以上あの密室で何をしたのか話したくなかったエドは、ここぞとばかりに話題を変えた。


「で、てめぇらは何やらされたんだよ」

「その前に確認するけど、エド達は?」

「あ? だから裸踊りだっつってんだろ!!」

「それだけ?」

「は、はぁ……? それだけって、お前らもっと酷い何か」


 エドの反応で、どうやら彼女達に課せられたお題も一つだったらしいことを悟ると、サタンは再びラッキーの足を強かに踏みつけた。


「だから痛いって!!」

「私達は、ハグとか、愛を叫ぶとか……あぁ、あと目をくり抜くっていうのもあったよ」

「最後のエグ過ぎんだろ」

「急に猟奇的になってびっくりした」

「でも、目……ありますよね」


 ムサシは二人の顔を見る。どう見ても目玉は二つずつ付いている。そこで彼女は思い至った。


「あ、もしかして、時間切れに……?」

「ううん、リモコンにラッキーって名前をつけて電源ボタンを毟ったの」

「ラリってんのか?」

「痛い! 私何も言ってないじゃん!?」


 サタンは踵でラッキーの足を潰すと、ラリってたのはラッキーだけ、と訂正を求めた。笑顔の圧力に押し負けたエドは首肯すると、頭の後ろで手を組む。


「はぁ……でもやっぱ裸踊りって、どう考えてもハズレくじだったよな」

「だからそれは私の台詞ですって」


 迷惑そうな表情で額を押さえるムサシを見ていたサタンだったが、突然視界がぐにゃりと曲がった。ぐわんぐわんと地が波打ち、転ぶと確信したところで、短い悲鳴を上げた。


「わぁっ」

「……なに今の」

「んだよ……夢かよ」


 五人が同時に顔を上げると、そこはB-4区画の談話スペースだった。どうやら夢を見ていたらしい。サタンはこれまでの妙な出来事を思い返し、即座に理解した。

 しかし、ラッキーが発した言葉に耳を疑うこととなる。


「変な夢だったなぁ……なんか、サタンとハグしたりしたんだよね」

「えっ」

「何? あ、もしかしてしたい? いいよ、いっぱいし痛い!!」

「私もクレを泣かせる夢見たなぁ」

「オレもその夢見たぞ……」

「あ……あたしはそんな夢見てない」

「うわ、絶対見たじゃん。ねぇエド。ムサシと裸踊りしたんでしょ?」

「てめぇぶっ殺すぞ!!!!!!!!」


 エドは立ち上がるとエラーの胸ぐらを掴んだ。それを見ながら、ラッキーは不思議なこともあるんだねぇとしみじみ呟く。その呟きにクレだけがおうと返事をした。


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