飢え

作者 佐藤佑樹

普段純文学を読まない人にこそ、酔いしれてほしい

  • Good!

描かれる舞台はすこぶる現代で、使われるツールもまた現代的である。SNSやJK語は、現代読者と作品の距離を縮め、歩み寄りやすいものにする。しかしその世界をつづる文体は古典的文学のそれであり、ハードボイルドな香りに満ちている。このような小説は本来歩み寄りがたいものだが、前述の現代性のおかげでそのようなことはない。短い一編であることもその効果を高めていることは言うまでもない。
つまるところ本作は優れた小説でありながら、誰もが容易に純文学的な倒錯に、ハードボイルドな世界に酔いしれることができる、きわめて優秀な「ツール」なのである。

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