飢え

作者 佐藤佑樹

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Good!

描かれる舞台はすこぶる現代で、使われるツールもまた現代的である。SNSやJK語は、現代読者と作品の距離を縮め、歩み寄りやすいものにする。しかしその世界をつづる文体は古典的文学のそれであり、ハードボイルドな香りに満ちている。このような小説は本来歩み寄りがたいものだが、前述の現代性のおかげでそのようなことはない。短い一編であることもその効果を高めていることは言うまでもない。
つまるところ本作は優れた小説でありながら、誰もが容易に純文学的な倒錯に、ハードボイルドな世界に酔いしれることができる、きわめて優秀な「ツール」なのである。

★★ Very Good!!

 考察なんて大したことは出来ないので私の感じたままを記します。

 没頭すること。繋がること。
 満たすことを試みる。
 それは試みではなく波打つ心に流されているだけ。
 流れゆく先にあるのは拒絶。
 それでも渇きのまま男は行く。
 砕けて沈み、染みとなるまで。

 繋がりという白い糸が見えるのは、空が黒く塗られたから。
 温もりが得られるのは、ただ夜が冷たいから。
 たったそれだけのこと。  

 それでも満たされれば幸福を覚える。

 それはまさに、これが飢えだから。

★★★ Excellent!!!

これは夜の小説です。
いや、Webって広いですね、こんな文体が無造作に転がっていようとは。
この作品に解かりやすく意味を求めることなど無粋でしょうが、そうと知った上でもシニカルな思考をいたずらに遊ばせてみたくなります。
ハードな世界観が心地良い一作です。
書き手には特にお勧めします。闘争心を煽られますよ。

★★★ Excellent!!!

モノクローム、かつ、一筋縄ではいかない世界観にハードな文体。
一言で言えば格好良い。
二言、三言は、私の筆力では蛇足にしかならない。
格好良い小説。
これで充分にして、完璧といえるだろう。

文学が好きと自認し、他言している人は、一度本作を読むべきである。