どこにでもあるような、工業高校生の何気ない日常……なのかな?
自分は工業高校に通ったことが無いので何とも言えませんが、果たしてこれは一般的な工業高校生の物語なのでしょうか?だとしたら工業高校は、面白い人たちの集まりということです。
出てくるキャラクターがみんな個性的で、ふとしたやり取りに笑わされました。癖の強い剣道部の先輩、マッドサイエンティストな人達が揃う化学部。工業高校ってこんな所なのと、読んだらビックリすること間違いなしです。
基本は笑えるコメディですけど、主人公が男前な一面を見せる胸キュンシーンもあります。
高校生の日常を描いた話と聞くと、ほのぼのした緩い話を連想する人も多いでしょうけど、緩くはありません。彼等は全力で毎日を生きているのです。
必死で馬鹿をやって、笑い合う。そんなキラキラした青春を送れる彼等が羨ましいです。
大学を出た古い世代であれば、「工業高校」と聞くだけでバカなやつらだと見下すような人もいるかもしれない。
クロコウは違う。むしろ受験にいそしむ進学組がお子様に思えるほど、実戦的な競争社会。そこに妥協は一切ない。最新の技術の粋(例えば電子顕微鏡)が惜しげもなく学校生活(服装検査)に活用され、合理的な精神論で頭髪にダメ出しをされる。自分たちが作成した商品の売り上げをかけ、商品コンセプト、デザイン、安全性、重量、果ては競合するメーカーとの差別化をビジュアルや爆発音で差をつけたり、結果的に実際に爆発したり、優秀な人材のスカウトのために拉致監禁脅迫したり、先生が権利関係を割と無視して勝負にこだわったり(実際の企業活動でもこういう会社ありますよね?)と、これ以上言うとネタバレになってしまうので詳しくは書けないが
あえてもう一度言う。
「工業高校」と聞くだけでバカなやつらだと見下すような人もいるかもしれないが、クロコウは違う。決してバカではない。大バカなのだ。
とある工業高校で繰り広げられる、彼らにとっては普通、一般人にはハチャメチャな日常風景。
まるで監獄かと思われるような、きびしーい校則に、軍人あがりのような教師陣。一応、共学なのだが、女性陣も癖が強くって……
簡単な遊びに本気になったり、危ない実験に、謎の創作物、ハードな部活に、人さらいが出る文化祭。運動会も一筋縄ではいかないぞ。
こんな高校に行ってみたい……とは、思わないが、読者として参加するのはとても楽しい。
スキマ時間にも楽しめる小気味いい文体とエピソードの数々。
一気読みもよし、休憩に清涼剤として楽しむのもよし。
男子たちのおバカ騒動ばかりかと思いきや、胸キュン、にゃんの恋の行方も気になるぞ。
ちょいちょい挟まれる、〈お言葉〉には、笑ったり、感動したりと、日めくりカレンダーにして飾りたいほど。
理不尽でも笑っちゃう。そんなとっても面白い作品です。
主人公を初めとする生徒たちは、普通の高校生活を送っているだけなんです。でも、客観的に見ると色々おかしいんです。
髪を染めてるか電子顕微鏡で毛髪チェックされるって、それどんな監視社会? そんな工業高校の異常にナチュラルに順応させられている主人公たちが、凄いんだか憐れなんだか……。
登場人物たちがどいつもこいつもいい味を出しており、会話のやり取り・テンポもユーモラスで面白い! こんな友達がいたら楽しいだろうな、という奴らがいっぱいいて、なんだか羨ましくなっちゃいます。
さらに、ハチャメチャな学園生活の隙間にちょっとしたときめきなんかもあったりして、思わずにやにや。工業高校 = 女子が少ないという図式から考えて、恋愛方面では灰色の青春が繰り広げられるのかと思いきや、主人公はいい感じに青春してるじゃないですかよこの野郎!
合間合間に挟まれる様々な先人たちの含蓄あるお言葉もまた、いい味出してます。生きる上で必要なのは仕事。まこと、金言ですねw
まさか、しりとりで爆笑するとは思いませんでした。お見事です!
クロコウとは、日本のどこか地方にある黒鷲工業高校の通称である。
果たしてそれがどこにあるのか? そしてここに書かれた物語がどこまで真実であるのかは、誰も知らない。
いやまさか、真実ってことはないでしょう。でも、教師も生徒も大真面目にこの学校で学園生活を送っています。決してだれかを笑わせようとか、吃驚させようとか、そんなことは考えてないはず。そう、彼らは大真面目です。
なのですが、なぜでしょう。
笑える。くっくっと笑いをこらえてしまう。「ぶはっ」と吹き出してしまう。げらげら笑いつつ、思わず「おいっ!」と突っ込みを入れてしまう。
そしていつしか、この独特の世界に馴染んでしまい、あまつさえそれを当然と受け止めている自分を見つけて、茫然としてしまう。
クロコウ、恐るべし!
どこにでもある……かどうかは分かりませんが、一つの工業高校に通う男子生徒の物語です。
実際に工業高校に通っている人に取材をして作られただけあって細かな所がリアルですが、一つ一つの描写が丁寧な為、専門的な用語が出て来ても分かるようになっています。
さて、そんな工業高校で彼等が何をするのかですが、実は一貫して「これが目的」と言ったものはありません。
携帯探知機を導入した服装検査にツッコミを入れたり、ニトロセルロースを使って炎上騒動を起したり、剣道部の厳しい女先輩にみっちりしごかれたり
。あと、かつての同級生の女の子とたまにいい雰囲気になったりもします。
なんだか普通の学生が体験できないようなしょうもない事件や謎の騒動も混じっていますね。ですがこれが彼らの日常です。
その時々で一生懸命になるのが違うと言うのも一つの青春ではないでしょうか。
笑いと苦労と、ほんの少しの甘酢っぱさの入った工業高校ライフとなっています。
青春とは何か! 今の俺の手元にある辞書で見てみると、人生の若くて生気にあふれる時代、とあった! さてこの意味を踏まえてこの小説を見てみよう! 特にそこに勤める先生方の言葉を見てみよう! 具体的な話数としては『藤原先生の言葉』、『担任の言葉』、『家庭科教師の言葉』辺りを見よう! 大丈夫、そこの部分だけで完結しているから、そこだけ見ても全く理解不能ということにはならない! ……見たな? ようし、今あなたが思った事を当ててやろう!
「これが青春の子供にかける言葉かよぉ!(ギャグ的な意味で)」
とかそんなことを思ったはずだ! 少なくとも俺は何度も思ったぞ!
失礼しました。いつにもましてヘンテコなレビューとなってしまいました。
この作品は工業高校に通う高校生、織田を中心とした高校生の日常のお話です。(実話も元にしている部分があるそうです)日常、と書きましたがそこはやはり工業高校、過ごす日常や感性が一般高校とひどく違っています。たとえば第6話と第7話の「ニトロセルロース」。危険過ぎんじゃねーか!と1人突っ込みました(笑)ほかにも第20話~23話のイベント出店。かなり独特の販売物を出しているところや口げんかの仕方が、工業高校らしさを非常に感じました。日常でありながら日常とは一風違った工業高校の世界。あなたも是非とも見てはいかがでしょうか?
ラブはない。ロマンなどかけらもない。というかまず常識が通用しない。
ここは男子高校生たちを囲う監獄……ハイティーンの少年たちに苛酷な生活を要求する働く工業マンを生産する場所……
――と書くとなんだか重々しいドラマみたいですが、抱腹絶倒のコメディです。
えっ、工業高校ってそんなことするの!?の連続!
でも何となく想像できるところもあって、男子高校生という生き物は普遍的なものかもしれないと思ったりなどもする。
嘘です、ロマンはあります。他の誰が何と言おうとこれは青春です。ラブはないかもしれないけど、ロマンはあるのです。たぶん。
今のところの私のオススメは外国人観光客を案内するエピソードです。工業はあんまり関係ないですが、工業高校のプライドはかかっているとみた。いい男だよ、あんたたちは。
あらすじでも書かれているように、派手なバトルも恋愛も、この話には登場しません。
(いや、恋愛はちょっとあるような、ないような……)
主人公は剣道部に所属しているため、勝負事に絡む熱いシーンも少しはあります。
女子の数は圧倒的に少ないものの、ちょっと甘い雰囲気も漂ってみたり。
だけど、この話のキモは、高校生活の緩い悲喜劇そのもの。
緩いんですよ、登場する本人たちはともかくも。
よくよく考えれば、校則は尋常じゃなく厳しいし、地域に限りなく密着した変わった学校なんです。
でも、ドタバタコメディになる寸前で踏みとどまって、スッと次の日常に移っていく軽さが気持ちいい。
凝った心象表現や技巧も控えめで、スピードやカラッとした笑いが主になっています。
作者さんも楽しんで書かれたんだろうと(勝手に)想像できる、面白さ。
この上なく取っつきやすい話ですので、ぜひ皆さんもクロコウの世界へGO!