龍馬の愛した人

未来から来た美少女剣士の剣捌きに、坂本龍馬はかつての婚約者の面影を見ます。

うら若き女性ながらも剣の達人にして「鬼小町」と呼ばれた千葉佐那子は、龍馬が江戸で剣を学んだ道場主の娘でした。相思相愛となった二人は婚約しますが、幕末という時代の波に引き裂かれてゆきます。

佐那子を捨てておきながら、別の女を妻とした冷たい男――と言われる龍馬の本心はどこにあったのか。
もしかしたらそれは、激動の時代に身を投じた英雄の辛く切ない決断であったのかも知れない。

坂本龍馬の僅かな迷いを断ち切るような、浅村咲(あさむら さき)の鮮やかな剣に痺れました。

物語の殆どが、火花をちらすような立ち合いのシーンですが、簡潔で迫力のある作者の筆の魅力に圧倒されます。

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