三話覚醒
痛い
私は急に誰かに地面に押し倒された
薔薇の刺が服を通りこして肌に突き刺さる
「っ……!や、やめてください!」
振りほどこうとするが押さえつける力が強くて振りほどけない
ふと、相手の顔を見た。そしてその顔には見覚えがあった
「うそ………か、海翔君?」
彼はそれに答えない
ただ私の腕から出る血を見つめていた
「やめて…………離して…」
だがそんな訴えも彼の耳には届いてないようだ
するといきなり彼は私の腕を舐めた
「っ!」
さらに舌で血をすくい
「……!……い、いや…」
彼は顔を上げた。息が荒い。そして
「………もっと」
といい、首筋に顔を近づけてくる
口の中に二本の鋭い牙が見えた
(……もう…………無理だ…)
そう悟った瞬間意識を失った
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僕は部室につくなり先輩のもとへ急いだ
「すみません先輩!今日僕と海翔部活休みます」
「はぁ~?何いってんだ試合が近いこの時期にお前らがいないとまずいと思わないの?」
「すみません、でも今日だけは…」
「まぁいいよ、お前らいつも頑張ってるし。たまには休め。あ、でも明日は来いよ」
「ありがとうございます!じゃ!」
部室からでて急いでさっきの場所にもどる
だかその途中窓から裏庭が見えた
するとなんと海翔が女子生徒を花壇に押し倒していた
「やっべ!もしかして……!」
急いで裏庭に向かう、その途中で仲間に連絡をする
「あ、もしもし有紀!?急いで裏庭にきて!奴が現れた!僕が奴を捕まえるから有紀は被害者を保護して!」
通話を切り、裏庭着いた時には海翔が彼女に覆い被さっていた
すると反対側に仲間が現れた
目線を交わしお互い飛び出す
「ごめんね、海翔!少し強めに殴るよ!!」
陽太の拳が海翔の顔をとらえる
その衝撃で海翔は吹っ飛び、校舎の壁にぶつかり意識を失った
後ろを振り返ると仲間が彼女の記憶と傷を消しているところだった
「…………ふー、お疲れさま!無事発見できてよかったね~」
「なにが“よかったね~”よ!被害者でちゃったゃないの!」
それに…と彼女は続ける
「あいつ…あんたの幼なじみってやつじゃないの?なんで一緒にいて気づかなかったのよ?」
「いや、僕も怪しいなと思ってたんだけどー……まさか本当だとは」
といって苦笑する
彼女は僕を見てなにかいいたげな感じだったがため息を大きくついただけだった
「ともかく、これどうするのよ」
海翔達の方へ歩きながら答える
「うーん…人間に危害加えちゃったからね、役所連れてかないとまずいでしょ………よっこいしょっと!」
海翔を背中に背負う。今日2回目だ
「そうね、じゃあまずは陽太の家に行きましょ」
「そういえばさ、この子は置いてって大丈夫なの?」
振り返り、壁にもたれて気を失っている女子生徒をみる
「大丈夫よ、起きてもなんで気絶してたのか疑問に思うだけ」
「ならいいや。よっし、行くかぁ」
僕らは家に向かって歩きだした
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また夢を見た
「…………………………ここは何処だ?」
360度どこを見ても光を見出だす事の出来ない空間
すると突然声が聞こえた
「ついに目覚めたな…………我が眷族よ…」
「!誰だ!」
声のした方向に振り返ると一人の男が立っていた
「…………私は全吸血鬼の祖の一族……スプリンドーラー家の当主…………まぁ今のお前に言っても分からぬだろうが」
「あぁさっぱり分からねえな………そのなんとか家の当主だっけか?のお前が何故俺の前に現れる?ていうか眷族ってなんだ、俺の親戚にそんなおかしな名前の奴はいないぞ」
だが男は答えずに軽く笑っただけだ
「ふっ……まぁ焦らずともいずれ分かる……」
男は踵を返して歩いていく
「っ!おい、待て!まだ話は終わってな……」
だが男は止まらずにこう言い残した
「その時が来たらまたお前の前に現れ、迎えに来よう…」
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「…っ!」
再び目を開けるとそこは薄暗い部屋のベットの上だった
「あ、やーっと起きた。どう?気分は」
声のした方を向くとそこには陽太がいた
「え?あ、いや大丈夫だけど…………なんで俺はここにいるんだ?」
よくみるとそこは陽太の家だった
しかし相変わらず西洋風の豪華な屋敷だ
「うん、その事なんだけど…君さ学校で何したか覚えてる?」
陽太は真剣な眼差しだ
「学校?……確か朝倒れて……保健室追い出されて………裏庭いって…」
そこで思い出した
「うわっ!え、!?ちょ、俺何して…ていうかお前見てたのか!?いや、違う!あの時はなんか体が勝手に動いて…」
あわあわと慌てて必死に言葉を探す
そんな俺をみて陽太はまぁまぁ、となだめる
「まぁつまり簡単に状況を説明すると、君は人間の血を吸った。んで、覚醒して完全な吸血鬼になった。って感じかな」
「完全な?どういう事だ。俺は人間じゃなかったのか?」
すると違う声が俺の質問に答えた
「あなた昔事件の被害者になったんでしょ。その時に一応吸血鬼化したんだけど何故か完全にはならなかった。で、今回強い刺激が急に与えられて残りも目覚めたんじゃないかしら」
俺はわけがわからずきょとんとしていると
「あぁ、そういえばあなたとは初めましてね。私は
すると陽太がガバッと有紀の前に立ち上がる
「僕らは魔界府役所人間界交流課でまぁ色々あって人間界で起こる問題を解決しているんだ!」
「ちょっと!私が言おうとしてたのに邪魔すんじゃないわよ!」
魔界府役所?人間界交流課?新たな疑問が増えたぞ…
俺が困惑していると陽太が微笑んで
「まぁわかんないのも無理はないよ。でも僕らは君を困惑させるためにこの事をはなしたんじゃない。」
「はぁ?じゃあ何のためだ」
陽太はこちらに手を差し出してきた
「君に僕らの仲間になってもらいたい」
Cross/Life 水河らん @mizukawa_moya
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