二話 異変

「………ん……?」

目を覚ますとそこは学校の保健室だった

すると保健の先生が近づいてくる

右の首筋がかすかに痛んだ

「木村君、具合はどう?」

痛みが強くなる

「え、あ、まぁ大丈夫だと思います」

痛む

思わず首筋をおさえる

「ちょっと、首が痛いの?うーん肩こりならぬ首こりみたいな?」

なんだそれ

更に首筋が痛む

ふと、先生の首筋が目に入った

綺麗な白い首筋

すると突然ぼーっとしたまま俺は先生の首筋に顔を近づけて

「先生……美味しそう」 

と言った

そして先生の肩をつかみ………そこで

「ちょっと!何言ってるの!離しなさい!!」

と、先生が俺を振りほどいた

そこで俺は正気に戻った

「え?あれ?……お、俺は何を……」

「全くもう!そんなことできるなら充分元気よね!ほら、はやく授業でて来なさい!!」

といい、先生は足早に保健室から出ていった

「え?……………俺マジでどうしたんだ…?」

いつもの俺なら先生の首筋に近づくなんてまずない。絶対にだ。しかもだって?何がだよ!

「……………まぁ倒れた原因は多分あれだよなぁ………」

赤色のランドセル。

俺はあの事件以来苦手になったものが一つあるそれは赤色のものだ

少しくらいだったら平気になってきたがあれほどしっかりみてしまうとどうも気持ち悪くなったり倒れたりしてしまう

だからいつも外に出るときはあまり周りの景色を見ないようにしている…のだが

「はぁぁぁ~…油断したなぁ…………ってか首筋痛てぇし、なんでか頭くらくらするしなんかいつもとちがうな……まぁもう少しここにお邪魔させていただきましょうかね……」

と思ってまた横になろうとしたら

保健室の入り口で先生がこちらを睨んでいた


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「はは!それは災難だったねぇ!」

「まったくだよ、保健室が具合の悪い生徒を追い出すとは何事だ……」

あのあと俺は仕方なく教室に行き、授業を受けた

症状はもちろん悪化しました

そして放課後俺は陽太に今までのことを話した

「ってかさ、お前が俺を保健室まで運んでくれたの?」

それに陽太は満面の笑みで

「そうだよ?感謝してよね、お前結構重かったんだから」

と言ってきた

「あぁ。ありがとな。…………じゃあなんかおごってやるよ」

「まじでか!」

「あ、でも千円以内な」

「うーん………いや、おごりはなしでいいからさ、いくつか質問に答えてくれない?」

「質問?別にいいけどまともなやつにしてくれよ」

「うん、これは真面目な質問」

陽太の顔から笑顔が消える

「君さ、昔〈無血殺人〉に巻き込まれたんだよね?」

「あぁ」

「その時犯人になんかされた?」

「それが、その時の記憶が曖昧で……」

頭のなかを今朝の夢がよぎる

「いや、なんだっけな…たしか……」

あと少し…あと少しで思い出せる……

「首を……首筋を噛まれた気がする」

そこで陽太は少し驚いた顔をした

「どこを噛まれた?」

「ここ」

といい、少しずつ痛みが増している右の首筋を見せる

すると陽太はそこをじっくりとみてくる

「な、なんだよ。てかなんでそこまでお前が知りたがるんだよ?」

だかそれに陽太は答えずに

「ちょっとまずいかも………海翔。今日はもう帰った方がいい。じゃないと……」

「じゃないと?なんだ?」

「い、いや、なんでもない。とにかく部活は休むって言ってくるからちょっと待ってて!」

そう言って陽太は走っていってしまった

「今部活休んだらまずいだろ……」

だが運動ができるほど元気でもなかった

仕方がない帰ろう

とりあえず外の空気を吸いに学校の裏庭に行くことにした

陽太には連絡をしておけば大丈夫だろう


首筋の痛みは増している


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うちの学校の裏庭には小さな庭園がある

いつも何かしらの花が咲いていて、生徒達には評判の場所だ

だが今の俺にはそんなもの楽しむ余裕もなく

「…………うぅ……気持ち悪……」

さっきの症状に加え気持ち悪くなったし何故かすれ違う人に対する思考がおかしくなった。

ふと気を抜けばさっきみたいな事になりかねない

「こりゃ部活行かなくて正解だったかもな…」

俺は近くにあったベンチに腰を下ろした

静かに頬を撫でて過ぎ去って行く風が心地いい

「……………ふー、ちょっと楽になったかも」

裏庭を見渡すと綺麗に花が咲いている花壇の中に一人の女子生徒がいた

花に水をやっているから園芸部員だろう

すると、ふいに風が強くなった

彼女の髪を結っていたリボンが花壇の中に飛んでいった

運悪くそこは薔薇の花壇で彼女も困っていた。しかし直ぐに意を決したように花壇の中に手を伸ばした

しばらくするとリボンを掴んだ手が見えてきた。すると

「………………っ!きゃあ!!む、虫!!」

一気に手を引いた

だからやはり手を切ってしまったようだ

血が彼女の腕から滴った






俺の中で何かが弾けた




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