一話 赤色
ピピピピピピピピピ__________
重い手を伸ばしてカチッとアラームを止める
だが布団から出る気にならない。
「……………………。」
5分、10分と時間は過ぎ去る
もう少しでまた眠りにつける…という所で
「お兄ちゃん!!!!いい加減起きなさいよ!!!!!」
と妹の沙弥が部屋に入ってきて俺の愛しの布団を部屋の隅に放り投げながら叫ぶ
「ああああああぁぁぁぁ!!!!!俺の布団ちゃあああん!!!!!俺を独りにしないでぇ!!!!!って痛い!!!!」
妹からすかさずのグーパンチ
「何バカな事いってるの!早く着替えてよ!ご飯できてるから!」
といって妹は部屋から出ていった
「……うぅ寒む…てかなんなんだよ朝から疲れんなぁ…はぁ……………………起きるか」
それにしても、
「夢とか久しぶりにみたな」
しかもその夢があのときのやつとは…
俺は昔ある事件に巻き込まれた
人々は口々にこう呼んだ〈無血殺人〉と
それは被害者達の体に一滴も血が残っていなかったからだ
そして俺も同じような状態になりかけた。だが、俺だけが何故か助かった
気が付いたら病院にいてしかもその時の記憶は曖昧になっていた
なのに、何故今急に鮮明に思い出したのか
まぁ今は朝の支度をしよう
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
俺は着替を済ませてリビングに行くと母とあの爆音迷惑野郎が朝食を食べていた
「あら、海くんやっと起きたのね。もう夜更かしもほどほどにしないと…」
俺は椅子に座り、いただきますといい答える
「しょうがないだろ?これから部活が忙しくなるかもだから今のうちに勉強しておかないと成績さがるんだよ」
「お母さん!こいつこんなこと言ってるけど私が様子見に行くといつも片手に漫画持って読みながらやってんの!」
「お前は黙っとけ!」
「あら、海くんそれはだめよ。勉強するならちゃんとやらないと…」
「あー、はいはい分かったよ。もうやらないから……って!もうこんな時間!やべぇ!」
皿の上の料理を一気に口に入れる
「……っはぁ!いってきます!」
「気を付けるのよ~」
俺はダッシユで家を出た
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「はぁはぁ…」
スマホで時間を確認する
……10分前、よし間に合いそうだ
すると
「だめだなぁ~運動部の人が朝ちょーっと走っただけで息を切らしてちゃあ」
そして俺の背中をたたきながら
「おはよー海翔」
といったこいつは幼なじみの陽太。昔からの腐れ縁だ
「はよー………陽太、なんか付いてる」
「ん?どこ?……ちょっととって」
「えぇ?」
なんで俺が…………と思いつつも仕方なく取ってやる
「…………はい、取れた」
「ありがとー」
「あぁ…………っうお!」
どうやら小学生にぶつかってしまったようだ
前を見てなかったな
「…………え、ごっ、こごごごめんね!?どどこもいたいところない!?だ、大丈夫!?」
唖然とした表情でこちらを見上げる小学生
それに戸惑う俺
くっそ…やっちまった、年下は苦手なんだよなぁ
すると
「百合ちゃーん、はやくがっこーいこうよー」
その子の友達と思われる子が駆け寄ってくる
ナイスだ小学生の友達(?)!
「ねー、いこうよー」
「う、うん」
友達に急かされてその子はこちらに背を向けた。その背中にはまだ新しい赤色のランドセルがあった
「……………………っ!!!」
俺は目を見開いた
しまった……………油断してた
俺は後退り、その場で倒れた
「っ!、おい海翔!」
陽太が素早く駆け寄ってくる
俺は薄れゆく意識の中誰かの笑い声を聞いた気がした
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