「神様」も人恋しくなるのかな?

 両親を亡くし、辛い状況の中で生きる少年の物語。短編なのであまり多くは語れないが、人間が神と崇める存在にとって人間とは? ということを考えさせられる一作だった。
 少年は危機を「女神に近い存在」によって助けられる。少年の言葉に、「女神」は言うのだ。人間と同じなのに、住んでいる場所が違うだけで違う存在として見られるのは嫌なのだ、と。
 確かにそうかもしれない。もしかしたら人間が神様にすがるように、神様だって何かにすがったり、人恋しくなったりするのかもしれない。だから最後に彼女は、少年の言葉に笑ったのだ。「待っている」と。
 彼女の孤独と少年の淡い想いがつづられた一作。
 是非、ご一読ください。