第3話 となりのおじさん
となりのおじさんはシェケナベイベー。
今日はダンスでキレッキレ。口笛音楽ピーヒョロリ。
いつものデカパンはシックな黒パンツ。白いタンクトップは白いワイシャツ。
かっちりぴっしり黒いスーツ。
髪はいつもよりキマってる。ピピッとかざせば税込み980円って表示されそう。
顔は恵比寿様、耳は大黒様。いつもよりお尻ふりふりでちょっとこわい。
年齢不詳職業不明。
独り暮らしの理由も不明。
謎に満ちたおじさんは、今日はノット不思議ちゃんスタイル。
おじさんおじさんどうしたの?そんな格好でどこいくの?
とことこ近づき足にすりすり頭をつけたら、おじさんの眉が八の字で困り顔。
遊んでよう。遊んでよう。と、かわいく鳴いても困り顔。
ぺこりとごめんなお辞儀をした後、おじさんどっかへ去っていく。
なーん、とひと声鳴いてみる。おじさんちっとも振り返らない。
なーんなーん、とふた声じゃどうだ。あれれおじさん姿が見えない。
なーん。なーん。なーん。おじさんどこだいー?
平地に塀端茂みに道路、てくてく歩いておじさん探す。
なーん。なーん。なーん。なーん。おじさんー?
おじさんいないなどこに行ったの?いつもみたいにいたずらしたいよ!
なーんなーんなんなんなーん。
てくてく元の場所に戻る。いつもの定位置でおじさん探す。
おじさんなーん。なー・・・
なんだか疲れてきたむにゃにゃすやぁ・・・
眠り猫様、おじさんが帰ってきますようにってお願いしたいですむにゃぁ・・・。
気づけば黄昏。太陽がさよならの時間。
ぱちりと開いた目できょろきょろ辺りを見回した。
おじさんいない。なーん。なー・・・ふあー。
あくびをひとつしていると、ガサガサ音が聞こえてくる。
おやおや何だろあの音は。
そろりそろりと夜目を聞かせる。
ガサガサ音はまだ続く。こちらに近づいてきている?
ぼくは心臓どっきどき。すぐ逃げられるよう前足を蹴ろうとしたその瞬間。
「ほら、キャットフードだぞー」
キャットフードの缶詰かかげて恵比寿様がご帰還された。
ガサガサ音の正体は、袋から缶詰取り出すおじさんだった。
おじさーん!なーん!
ぼくはひときわ大声出して、おじさんの帰りをよろこんだ。
なーん!
続く。
となりのおじさん 瑛子 @granatapfelbaum
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