第2話 となりのおじさん

となりのおじさんはダンシングエブリデイ。


今日の出番はお庭でさっさ。箒片手にお掃除してた。

お尻フリフリ、ちりとりヒラヒラ。

いつもどおりのデカパンスタイル。今日のパンツは縞ストライプ。色は紅白やや新品。

顔は恵比須様、耳は大黒様。笑顔以外を見たことない。


年齢不詳職業不明。

独り暮らしの理由も不明。

色々不明で不思議なおじさん。

謎に満ちたおじさんは、近所では毎日不思議ダンスを踊っていると専らの評判。


おじさん紹介が終わったあたりで、どうやら掃除が終盤らしい。

ヒラヒラちりとりピシッと地面におきまして、デカパンぱぁんと一叩き。

箒もピシリでサササササッ。あっという間に集まる落ち葉。

ちりとり上に山ができた。

にんまりおじさん。企み系。恵比寿様が小悪党に。


こわすぎる。

ごくりとひとつ、つば飲み込むと、おじさんこちらに気がついた。

チラ見、チラチラぼくを見る。


ぼく、どっきーん。


おじさんチラチラぼくを見る。

おじさんじっとぼくを見る。

おじさん気づけば近づいてた。


ぼく、びっくーん。

警戒


その瞬間。

集めた落ち葉がざばばばばーん!

滝のように落ちてきた。


わっふい!ぎぶ!ぎぶだよおじさん!

ざぶざぶざばざば滝をかき分け、落ち葉から脱出をこころみたものの

落ち葉の滝にはかなわない。

気づけばもっふり埋もれてた。


ざぶん、ざぶん。

もうちょい。


ざぶぶん、ざぶん。

もーすこし。


ざっばーん。

ぷっはぁ!


なにこれあったかい!

あったかいよおじさん!

ぼくは夢中で落ち葉におぼれる。

ぬくい落ち葉におぼれてく。


ざぶざぶざばば。

くしゃりわしゃりくしゃーんっ。

ぼくが滝を泳ぐたびに、落ち葉が空へ逃げていく。

おいかけろ、つかまえろ、あそんじゃえって足がうごく。

ぼくと落ち葉の鬼ごっこですっかり夢中。


なんてたのしいんだ!

ぼくはすっかり落ち葉のとりこ。


気づけばおじさん満足そう。

いつもの恵比寿様に戻り、しばらくぼくを見学後、よっこらせっと部屋に戻る。

その足取りはダンシング。デカパンゆらゆらスキップしてた。


ふたたびおじさんに懐柔され、すっかり負けた気分である。


お、おじさんめ…やりおる…


捨て台詞もそこそこに、ぼくは満足げな表情でその場をあとにした。


続く。

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