化けるかもしれないと思った。
- ★★★ Excellent!!!
この作品は、何処にでもいる、自己評価の低い少年と、彼が憧れる少女とのたった一度のデートを描いた物語である。
都度、「ヘドロのよう」と評価する、卑屈な態度の主人公の視点で、物語は語られる。主人公は卑屈ながら、憧れの少女にデートを申し込むのだが―――。
題材は普通。人物も飛び抜けて特徴はない。しかし、この普通の主人公たちを、細やかな表現で描いており、時折その文章にハッとします。
彼女の髪から匂いたつ瞬間。
自転車を置いて、彼女と電車に乗り込んだ事。
細やかな心理描写が描かれていると思いました。
技術的には荒削りですが、作者には魅力と可能性があると感じました。
安易にハッピーエンドにしないところも、リアリティーがあります。続編ではどのように主人公が成長するのか、非常に楽しみです。
是非これから読む方は、流し見ではなく、じっくり落ち着いて読んでほしい小説です。