青ではなく、藍

　一九六五年、共産党体制下の上海の街が突然、列強が支配した租界時代の姿に戻った。同時に市民は家族や友人と引き離され、新たな名前と職業のもと別人となって生きることを強要される。ベテラン俳優の趙丹は物乞いに、妻は妓女となり、再び相まみえることは許されなかった。新一九三〇年代化政策がはじまったのである。政府は人民に、帝国主義時代の欠点を再認識、正しい歴史に書き換えることが目的と発表した。
　趙丹の娘・苑玲は国家主席夫人・江青のもと、女優としての訓練を受け、かつて夫人自身が名乗っていた芸名・藍蘋を授けられた。それを知った趙丹ら三〇年代を代表する映画人たちは、政策が施行された本当の目的は、不遇だった女優・藍蘋の歴史を華々しいものに改めることにあると考える。そんな中、映画『銀花』出演者選考会の優勝者らが…続きを読む