フランス観光ならお任せあれ!美食と芸術と、忘れちゃいけない『扉』の管理
- ★★★ Excellent!!!
観光の醍醐味として最重要と言っても過言ではないのが、その土地のグルメ。
美食の国としても名高いフランスを旅するなら、絶対に押さえるべきポイントです。
この作品では、そんなフランスの素晴らしきグルメの数々が、美食家にして健啖家の主人公・コンフェッティ氏によって魅力たっぷりに紹介されています。
料理の味のみならず、見た目の美しさや匂い、歯ごたえや舌触りまでもが伝わってくる、豊かな語彙と表現力。読んでいる間じゅう、お腹が鳴って仕方がありません。
では、このコンフェッティ氏は何者かと言うと。
神や魔族たちの国と人間界とをつなぐ『扉』を管理する、魔族の公務員です。
そう、彼は本職を半ば放り出して、人間界の美食探求に走っているのです。
そんな彼とバディを組むのは、トイプードルの姿をした生真面目な魔獣・ミニュイ。
何かにつけてサボろうとするコンフェッティと彼に振り回されつつも任務を遂行しようとするミニュイのやり取りには、スマートなコミカルさが溢れています。
その面白さに思わず笑ってしまうと同時に、会話センスの良さに嘆息してしまいました。
修理対象の『扉』を探す過程で差し挟まれる絵画や彫刻などの知識も、この作品の見どころの一つ。
また魔族の社交場では、ジョージ・ワシントンやジャンヌ・ダルクなどといった歴史上の偉人が死後の人生を謳歌する姿も見られ、作者さまの遊び心が随所に感じられます。
私のお気に入りは、第1部で登場するアンジェリーナ。
その迫力は破壊的。かつ女子力もめちゃ高い。一発で心を奪われました。
面白くてお腹が空く、そんな魅力たっぷりのこの物語を、フランス観光気分で楽しんでみませんか?