美の根源とは、扉の先にあるものか

美術とは視覚芸術であり、優れた作品は人の脳を揺らす。古代ギリシア人はその観点を尊び、完璧な美の象徴たる神々の彫刻を多く残している。本作品では、我々の世界で表すなら『超常的な神秘』が集う『最果て』と呼ばれる場所と、人間界とを結ぶ扉があまた存在している。ともすれば、現存する美術作品とは扉の先の神秘を写し取ったものなのではないか――などと想像を巡らせることができる。さて、好意的な想像ばかり浮かぶので、二つの世界は上手くやっているように読み取れるのであるが、バランスを取り持っているだろう役職こそが、主人公の仕事である『扉番』であろうと推測する。未だに描かれていない、扉を管理する意味とは何か。二つの世界の真なる関係性とは。次に出てくるフランスの食事とは(←だいたい気になるのこれです)――などと、食欲をそそる内容であることに間違いない。

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