喫茶店に現れた球の謎とは――。
と思っていたら、あれよあれよと怪異的な現象に遭遇。
対する主人公は全く動じず、ただのお掃除として場慣れた感じに簡単解決!?
この主人公、一体ナニモノ。
平穏をのぞむマスターですが、球をめぐる運命は彼を放っておきませんでした。
動じない場慣れしまくりな彼と。
ノリノリなあの娘と、逞しくなっていく彼女。
三人で挑む球の先に待っているものとは!?
本当にありそうなほどしっかりと裏打ちされた伝承や逸話と共に、現代怪奇ものとして地に足着いたリアルさで進む本格派。
それでいて三人のコミカルなやり取りが光る、軽快で楽しいお話が「喫茶店ブラン」では今日も繰り広げられています。
さぁあなたもレッツご来店。きっと美味しい珈琲と、興味深く惹きつけてくれるお話と。あなたの球が、待っているかもしれません。
おすすめです!!
もし、自分の身の回りで不思議な出来事が起こったとしたら、恐いって悲鳴を上げて逃げ回るだけでは終わらないと思うのです。だって毎日は否が応にも続いていくわけだから、その出来事に影響を受け、邪魔されつつも、どうにか折り合いをつけよう、何とかやり過ごそう、嫌だけど解決しようと頑張るんじゃないのかなあ。
──実は私、カクヨムではそんな人たちのお話を書きたいと思っていたのですが、高羽さんがお手本みたいな作品を読ませてくださいました。それがまさにこれ!『あな球♡』です(タイトル、勝手に縮めてすみません。でも、私のなかでは愛を込めて呼んでいます)。
穏やかに暮らしたい主人公、桐治さんの気持ちなどまるで無視で、次々と現れる&持ち込まれる球に次ぐ玉、そして珠。彼が二人の美人助手に追い立てられるようにそれら不可思議な存在にどう対処していくのかが、読みどころのひとつ。
もうひとつ、それぞれの球に係わった人々のドラマにも注目してほしいです。球によって救われたり、本性が垣間見えたり、邪な気持ちに罰を受けたり……。
もし、この物語を球にたとえるとしたら、七色球でしょうか。ジャンルは現代ファンタジーになっていますが、私的には『ファンタジーの器にホラーの土を入れ、コメディとミステリーの花を咲かせた』欲張りなストーリーです。
今、物語は、球がどこから? どうしてやってきたのか? を追っていよいよ佳境に突入。
とにかく! 予定調和な世界でないところが、この作品の一番の魅力なのです!
──素敵な喫茶店ができたんだ。
色々あったけど、親の遺産をつぎ込んで、やっと夢が叶った。
これからはこの店のマスターとして平穏な日常を送るんだ──
と、心躍らせて喫茶店「ブラン」を開店した狭山桐治は、いきなり開店初日からトラブルに見舞われる。
しかもそのトラブルはまるで超常現象。
実は主人公、喫茶店を開く前は二つ名付きの呪術師として仕事をしていたらしい……。
主人公の店を襲うのは、由来のわからぬ「球」。
呪術マニアのバイトの留美ちゃんと、どうやら「球」に魅入られたミキちゃんを連れて、主人公は喫茶店「ブラン」を守るために果てなき戦いへ……
と言うお話ではないようで、どうやら「非日常」に振り回される主人公と女性陣のちょっとシュールなファンタジー。
でも、主人公が大嫌いなGを撃退するシーンとかはまるで作者様の才能の無駄遣いと言いたくなるほどの戦闘描写だったり、交わされる会話のシュールさは、まさに作者様の真骨頂だったり。
三人の微妙に噛み合わない会話にツッコミを入れつつニヤッと笑いながら楽しめること請け合います。