ストレス社会と言われる現代、様々な要因で心の健康を保つことが難しいと感じますが、そんなリアルに肉迫しつつも小説らしいエンターテインメント性で読者をオリジナリティ溢れる世界に引き込むのが本作です。
時と場所を隔てて生まれた二人の天才、ウィノナと冬夜。
ウィノナは旧ソ連で超人研究と呼ばれる脳神経の研究の責任者として人体実験を繰り返し、数百人の命を犠牲にする研究を放棄して亡命し、行方をくらました伝説の研究者。
一方の冬夜は異母妹で先天性の心疾患を抱える春日の命を救うべく、自らの才能を医学に捧げて邁進する若者です。
本来ならば接点がないはずの彼らが出会い、一つの研究成果を求めて突き進むのが「バランサー・プロジェクト」なのですが、それは国家規模で行われるべき壮大なプロジェクトとなって動き出します。
スケールの大きな物語に寄り添うのは、冬夜の妹・春日と同級生である温人とのほのぼのとした心の交流ですが、やがて春日の容体の急変をきっかけに、この二人もバランサー・プロジェクトと深い関わりをもつようになります。
大切な人を支えたい。大切な人を失いたくない。
どんな状況においても揺らぐことのない強い思いは、このプロジェクトを成功に導くことができるのか。
国家プロジェクトを突き動かす人々の思いの強さに感動すること間違いなしです。
「幾つもの流れが寄り添いあって、やがて大河を生み出す」
この物語の魅力をお話しようとして浮かんだのは、そんな言葉でした。
東西冷戦中のロシアと現在のアメリカという異なる時代と場所で活躍するふたりの天才、そして日本に暮らすひとりの少女、同時に進行していく登場人物たちの物語は遠く隔たっていますが、いつしかバランサー・プロジェクトという人類の新たなパラダイムへ向かって流れはじめます。
何より素晴らしいのは、同時に進んでいく幾つもの物語やバランサー・プロジェクトに至る経緯を、するりと抵抗なく読ませてくれる作者さまの筆力だと感じました。
読み進める従って繋がりが明らかになっていくそれぞれの物語を、楽しみながら追っているうちに、人としてとても優しいふたりの天才の出会いが導き出す、バランサー・プロジェクトに辿り着かせてくれるのですから。
未来を思い描く胸の高まりが詰まった作品です。
SFが好きな方は勿論、大切な人を思う気持ちを描いた物語が好きな方にもおすすめできます。
最初 小学生にしては出来過ぎではと思ったが 作者の変化球の兆しを見つけてすでにしてやられそうに。
タイトルの意味は全く分からず、世界観も朧げに記されているが理解しがたい世界こそがSFというものでしょう。
★★は評価というよりはまた来ますの栞です。最後まで読み通した時には★が増えていることは保証します。
その時はレビュー書き換えて御礼にしたいと思います😊
妹に余計な負担をかけさせたくない。
第1節終了ですが、キャラクターもわかりやすく 兄の優しさに心打たれますが、社会はそう甘くない。
でも彼ならやりきって欲しい。
応援したくなるSFの幕開けです。裡に秘めた人間愛などもきっと大きく変化して広い世界へ連れて行ってくれる気がしました。
39話まで来ました。
ここまでの数話で話が大きく進展し、どんどん面白くなってきています。作者がどうやってこんなストーリーを思いついたのか、気になります。
これから読む人は、39話までは頑張って欲しいなと思います。
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壮大な物語になりそうで楽しみ(第26話まで読んでのレビュー):
26話まで来て、話が繋がりつつあり面白くなってきています。じっくり本格的な小説を読みたい人にオススメ!
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前回レビュー(22話まで)
(☆1つなのは、まだ物語の全貌が見えず、SF色もさほど感じられないからです。読了したらおそらく、☆を追加することでしょう)
一部、二部、三部と、異なる人物を中心に物語が進みます。
著者の筆致は、この先どんなドラマチックな展開が待っているのだろう…物語の全貌がわかった時にはさぞすごいことに…と期待を抱かせます。
緻密でスケールの大きな物語が好きな人は、特に楽しめるのでは、と思います。
今の段階で好きなキャラは、大河内健吾です。冬夜との関係がどのように変化していくのか、見守ります。