大切な人への強く熱い思いが、壮大なプロジェクトを突き動かす!

ストレス社会と言われる現代、様々な要因で心の健康を保つことが難しいと感じますが、そんなリアルに肉迫しつつも小説らしいエンターテインメント性で読者をオリジナリティ溢れる世界に引き込むのが本作です。

時と場所を隔てて生まれた二人の天才、ウィノナと冬夜。
ウィノナは旧ソ連で超人研究と呼ばれる脳神経の研究の責任者として人体実験を繰り返し、数百人の命を犠牲にする研究を放棄して亡命し、行方をくらました伝説の研究者。
一方の冬夜は異母妹で先天性の心疾患を抱える春日の命を救うべく、自らの才能を医学に捧げて邁進する若者です。
本来ならば接点がないはずの彼らが出会い、一つの研究成果を求めて突き進むのが「バランサー・プロジェクト」なのですが、それは国家規模で行われるべき壮大なプロジェクトとなって動き出します。

スケールの大きな物語に寄り添うのは、冬夜の妹・春日と同級生である温人とのほのぼのとした心の交流ですが、やがて春日の容体の急変をきっかけに、この二人もバランサー・プロジェクトと深い関わりをもつようになります。

大切な人を支えたい。大切な人を失いたくない。
どんな状況においても揺らぐことのない強い思いは、このプロジェクトを成功に導くことができるのか。
国家プロジェクトを突き動かす人々の思いの強さに感動すること間違いなしです。

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