空手部の、良い子 悪い子 普通の子。そして人知を超えた先輩。

 梧桐彰がまたもやってくれた。
 作者との出会いは『ホームズ対李書文 https://kakuyomu.jp/works/1177354054881659409 』であり、まさに英国紳士たるワトソン教授が憑依したかのような絶妙な語り口でホームズと、そして彼を通して垣間見る中国拳法、そして李書文というビッグネームの描写にわくわくさせられたものだ。
 今回はキャラクター配置をまさに撃尺の間合いへと置き、プロローグを読んだだけで「ああ、これはサラ先輩の無茶ぶりにユーハやネコ、アリスが面白い反応をするのを楽しむ話なんだ」と実に明快一撃必殺の構えを見せているではないか。
 読み進めるための面白さはもとより総て読まずともわかる面白さの配合で仕掛けてきた今作は、打ち込みの鋭さと速やかな引き手の織り成す掌編連作と相成った。
 サラ先輩は人知を超えた無茶ぶりを、ネコは理解を越えたりアクションを、ユーハはひどく真っ正直なツッコミを、そしてアリスはすべてを打ち返す天然を引っ提げている。
 これが面白くならないわけがないのだ。
 作中展開されるユーハの語り口はまさに中庸なまじめそのもので展開されるが、これもやはり憑依したかのような軽快な文章で書かれている。

 各話ごとに思うのだ。
 梧桐彰がまたもやってくれた、と。

 おすすめです。

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