1本の映画を観た感覚になれる、感動のヒューマンドラマ!

この作品を読み終えた時、実写化・映像化された洋画や海外ドラマの小説版を読んでいるような、どこか不思議な気持ちになりました。

「心理学」「命」「心」が大きなテーマで、第1幕では臨床心理士を目指す、女子大生の高村 香澄ちゃんが主人公、その友人マーガレット・ジェニファーらの成長が見どころです。肌に水が染み込むようなその作風は、まるで自分がその場にいるかのような気持ちにさせてくれます。

そして第2幕ではもう一人の主人公、トーマス・サンフィールド(通称トム君)君が主体となるお話です。トム君の心の葛藤や苦悩がテーマで、第1幕以上に内容が濃く、とても読みごたえがあります。時折涙を拭う場面が多いことも、魅力の1つです。

第1幕・第2幕に共通していると思ったことは、深層心理を詳細かつ丁寧に表現していることです。「命」「心」をテーマにしているためか、人の感情や内面を繊細に引き出すことを、作者さまが強く意識しているように思えました。

さらに世界観に合わせた詩が3つ登場し、作品の風景をより上品に仕上げていると感じました。専門用語や登場人物の紹介なども細かく書かれており、作品に対する熱意や情熱を感じます。

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