螺鈿の鳥 結城かおる

 美しく、恐ろしい

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054883003957


 これを入れなくてはなりますまい。出だしから、良い。

 なんといってもこうだ。

「大唐は長安の日輪にちりんの上、告天子ひばりが一声鋭く鳴けば、いらかの波もまどろみから醒めて鈍くきらめく。」


 漢文調を自由自在に操る文体の妙もさることながら、物語も、良い。

 中国史に疎い私は、これが誰の物語なのかずいぶん後になって気付き、ぞくっと背筋が凍える思いを味わった。


 決して長い物語ではない。

 あたかも、歌うような独特のリズムで語り始められる物語は二人の姉妹の話。

 運命がその立場をわけた姉妹は、やがて、悲劇的な最後へ突き進んでいく。その鍵となる后と仄めかされる内心の葛藤。



 おぞましくも、美しい物語は、ピリッと毒を持っている。

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