桃のような、ちょっといびつにまあるい物語

桃って案外柔らかいんですよね。
それで、傷がつきやすい。
食べる直前まで丁寧に丁寧に扱って、そこから切った実が美味いという。

そんな桃の実のように大事に大事に傷付かないよう護られて生きてきた、桃子ちゃん。
過度なほどに彼女を護っていたのは、お兄ちゃん。

この物語のみんなは、桃太郎や家来とその鬼の、子孫ばかり。
確執だったり、すれ違いだったり、あらゆる障害を越えて、桃太郎の子孫である桃子ちゃんは、鬼の子孫のみんなと理解を深めていきます。
鬼たちと仲良くなっていくにつれて、露になってくるのは『桃太郎の子孫』というプライドを背負ったお兄ちゃんの強い感情。

恋愛模様も絡んできて、はたして熟しきる前の傷ひとつない桃子ちゃんは、何を選んでいきますことやら──。


そらさんの紡ぐ、優しい世界の孤島のお話。
是非ともご覧あれー!