第224話「ちょっと令和の虎に持ち込みたいようなことを思いついた」

 団塊世代がもはや75歳とかになりほとんどすべての人が、退職し家で余生を送っているだろう。

 さて世間ではモラハラするご高齢の人や、車を走らせて暴走する御仁が世間を騒がせている。

 後者の方はともかく、前者の方の問題は高齢者の心のケアの問題である。思うに彼らは会社という場所を追われ、さらには家にも居場所がなくなり、寂しさが募り感情をコントロールできなくなっているのではないかと考える。


 そこでハイロックは思いついた。


 会社を定年退職後も、会社に通えるような施設を作ればいいのではないかと。

 有料で会員になっていただき、会社というコミュニティにわざわざ入っていただくのだ。そして定年後も会社ごっこをやってもらう。

 そうすることによって、会社という居場所もあるし、奥さんから家庭で阻害されることもない。会社というコミュニティにい続けてもらうことで、老後の孤独の問題も解消されるのだ。


 もちろん、ただのペーパーカンパニーでは会社に行った甲斐がないので、実際に仕事もしてもらう。仕事内容も自分たちで考えていただこう。意味のない長い会議をたくさんしてもらって、プレゼン資料などを作り、何の仕事をしていただくも考えていただこう。

 実際、おじさんたちが大量に集まってるというだけでいろいろと価値があるので実際に必要とされることも多いはずだ。

 例えば、ある会社の説明会だとか、講演会などで人数を集めたいときなどではサクラとして大いに力を発揮できるはずである。若いお兄ちゃんやおねぇちゃんでは似つかわしくない会議とかもあるだろうから、おっさんのサクラ軍団はなかなか強力である。


 しかし、主目的は会社に来ている感を味わってもらうことなので、仕事なんてなくてもいいのである。

 ただし会社でいい気持ちにはなっていただきたいので、プロの部下は用意しておく必要がある。この子の仕事は上司のいうことをへらへらして聞いてもらうことである。相当にストレスがたまる仕事なので給料は多めに出してあげたい。

 ほかにも美人な事務員は必要だろう。そして必ず会社の飲み会には出てもらわなければならない。

 その飲み会は毎週末行われる。


 福利厚生も大事なので、会社の中にはジムなども完備しておきたい。さらには有料でパソコン関係の研修とかを行うのもいいかもしれない。そうすると完全に会社という名前を借りたカルチャーセンターだな。


 月額いくらだったら利用されるだろう。オフィスの場所にもよるだろうが、やはり虚栄心を満たしてもらうためにも東京のいいところにオフィスは構えたいものである。それだと最低2万円は必要だろう。

 2万円だったら子供の塾台よりは安いんだから全然いいんじゃないか。

 さらに月額は役職によって変えるというのも面白い。

 課長は2万円、部長は3万円、取締役は5万円、社長の座はオークションで決めればいいかな。あ、社長はともかく取締役は事実誤認を生みそうだから、考えないとね。

 金はあるけど寂しいという人は、この偽りの社長の座を欲しがってくれるのではなかろうか。ガチで社長を名乗ることができるのだから。


 平社員2人、部長100人みたいなとんでもない会社が出来上がってしまうわけだが、まあそれはそれで面白いか。


 つづく


 

 








 




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

「☆がつかない作家の苦悩」 ハイロック @hirock47

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ