甲王牙おるたなてぃぶ

王叡知舞奈須

大怪獣こうが

第一話:機械の怪獣、現る


 世界のどこかにある、なんかよくわかんない氷山の一角。

 その上空を、一機の飛行機が飛んでいた。



 その時突然!飛行機は爆発四散!


 唐突スギィ!

 まぁ飛行機の中で何かあったんでしょうということで、多少はね?



 その破片に紛れ、一発の爆弾の様な何かが、氷山に向かって落下していく。


 着弾!


 そして爆発!


 当然である!



 その瞬間、妙な音と共に氷山が砕け始めた。


『───ゥゥゥ……!!』


 ただ爆発で砕けたのではない。


『───グルルルルゥゥゥゥゥゥ……!!』


 


『a゛↑a゛↑a゛↑a゛a゛a゛a゛a゛!!』


 ガバガバに広がった裂け目からが、怨念染みた咆哮を上げながら這い出てくる。


 その姿は、


 カメに似ている様な、なんというか、声音に不釣り合いな程に不格好な、なんか……カメだった。



『Ghah↑ra↓ra↑ra↑rararararaaaaaaaahhh!!!!』



 なんとも形容しがたいその異形は、晴れ渡る蒼穹そらへと轟咆を上げた。




数週間後のある日の晩

北海道


 港湾状の地形の、海岸に程近いところにあった警備所にて。

「───っ!!」

 レーダーを確認していた警備所のオペレーターが、レーダーに何かが映り込んだのを確認し、反応した。

「レーダーにて、海中より接近する感あり」

 続けてオペレーターはレーダーの反応から形状を推測し読み上げる。

「推定、縦18m、幅10m、卵状の楕円形の様に見えます」

「船……にしてもやけに不格好だな」

 隊長格であろう下士官がそう答えた、その時、


『───aaaaaaaaaaaaaaaaッ!!!』


 それは海面より姿を現した。


「───なぁっ!!?」


 海面から現れるなりスイーッと海岸に辿り着きそのまま上陸したその姿に、誰もがド肝を抜かれたであろう。


「カメ……!!?」

「えぇ、カメですね……!!!」


 カメに似ている様な、なんというか、凶悪そうな声音に不釣り合いな程に不格好な、なんか……カメだった。

 より具体的にいうなら、灰色の体色をしており、顔がでかくて、首が太くて、手足が短くて、全体的に丸っこくてちょっとずんぐりむっくりな感じの体躯をしている。


 俗的にいうなればそれは、怪獣、という言葉に当てはめることができた。


「あんな、でかいカメが……この世に存在するとは……!!」


 次の瞬間である。

 大きな口を開いた、そのカメは───


『Ghah↑ra↓ra↑ra↑rararararaaaaaaaahhh!!!!』


───挨拶代わりと言わんばかりに、強烈な轟咆を暗い天穹そらへと放った。

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