可愛くて可笑しくて美味しい! 神業で紡がれた幸せいっぱいのファンタジー
- ★★★ Excellent!!!
シリーズ全作を拝読しました。
メインキャラクターは、セラピストの雪ノ下密と小学5年生の津雲つぼみ。
雪ノ下さんは実は○○で異界の住人であり、つぼみさんは人間でありながら異界の扉を開けてしまう特異体質の持ち主です。
雪ノ下さんのセラピールームには息を呑むほど美しい夕焼けの絵が飾られているというのも粋ですし、つぼみさんの特技がテコンドーというのも楽しい。もちろんコメディなので笑いもいっぱいです。
さらに物語に欠かせないのが、「モフモフ」たちと食べ物!
Ⅰの「モフモフ」はカピバラで、「食べ物」はパンなのですが(ハシビロコウとラーメンも登場しますが、こちらがメインになるのはⅡ)、のんびりおっとりしたカピバラの何と可愛らしく、彼らが丹精こめてこしらえたパンの何と美味しそうなことでしょう!
とにかく、キャラクター設定であれ、動物たちや食べ物や風景の描写であれ、ひとつひとつがこれ以上ないというほどピタリと嵌まっている感じがするのです。
プロフィールによると作者様の「心の故郷は児童書」とのことですが、たくさんの児童書の名作を読まれ、ご自身の糧となさってきたからこそできる神業だと思います。
疲れたとき、落ちこんだとき、イライラしたとき、皆様にもこの扉を開けてみてほしい。心がやさしく包みこまれ、読むまえよりも楽に息ができるようになるのを感じるはずですから。
そしてきっと、4つの扉(番外編も含めれば5つ)の扉全てを開けずにはいられなくなることでしょう。