全国津々浦々、老若男女がその場所を訪れ、英気を養っては再訪する。そんなある村に住む「ヤシロ」と呼ばれた、娘の課された使命の重さたるや。流れるように読み進められ、描写が頭に浮かぶ筆致は良し。クライマックス。「そういうことか」と合点し、先を想像できる余韻に浸れる。後から、じわじわと忍び寄るような、戦慄をご堪能あれ。
とある村。その村は寂びることなく栄える。なぜなら、『神様』がいるからだ。主人公のヤシロは、そんな村で生まれ育った娘だ。彼女の母が死んだことにより、彼女は様々なことを知る。いや、『気付く』のだ。彼女の気付きや彼女の思いをここで書くとネタバレになってしまうので控えるが。静かに、流れるように進む文体にひきこまれ、一気に読み進めてしまう。さて。彼女は一体、なにを父に願うのだろう。
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