ある殺し屋の一日の風景。

SF×ミステリーというテーマで、ポピュラーなのが異能力者による犯罪だ。
現実には存在しない能力を組み込むことで、通常の事件ではたどり着くことのない意外な真相が導き出されることもある。

そして、本作の主人公もそうした特殊な能力を持った殺し屋である。それもあらゆる依頼を断らない凄腕の殺し屋だ。その気になる能力の正体は……なんと指先に火を灯すことができるのだ!
……地味だな。

ライターやマッチがあれば事足りる気もするし、ナイフや拳銃と較べれば殺傷力も心許ない。では果たして彼女はどのようにしてターゲットを殺すのか?

無駄のないすっきりとした文章でテンポよく物語を転がして、わずか千文字強の長さできっちり伏線を回収してオチを付けるというショート・ショートのお手本のような一作だ。

(SF×ミステリー 4選/文=柿崎 憲)

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