これはいい群像劇

一話毎に視点が変わるお話の進行方法において、キャラクターへの感情移入をどのように持っていくかという課題がある群像劇作品は、書き込み具合をどのくらいの重さに調整するかが非常に難しいと私は思っているのですが、作者さまはそれをいとも簡単にやってのけているように感じます。
というのは一度目を読んだ時に湧いてきた感想で、二度三度と読み返していくうちに言葉選びの丁寧さや、心情描写の掘り下げの程度、視点誘導のタイミングなどが非常に良く練られていることに気付きました。ここまで文を洗練させるのは並みのことではままなりません。
それと、地の文が醸し出す無機質感というか少しひんやりした感じがこの作品の雰囲気に合っていて、登場人物たちが持つ現代人の空気がリアルになっている気がしました。
未完結にもかかわらずここまで完成度の高いこの作品。続きが気になります!

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