龍の魂を見透す者よ。

もし君が自分のことを、道端の石ころみたいにつまんないやつだって思ってるとしたら、それは違う。
だって、つまんない石ころなんか、一個も無いから。
石は地球という奇跡の欠片なんだ。
もちろん君だってそうだよ。――まだ気づかないの?

ネットオークションで売るために、川原で石を拾っていたフリーターの義経は、真真子と名乗る謎めいた女性と知り合い、ビジネスパートナーとなる約束を交わします。
しかし彼女の正体は、なんと「人間」ではありませんでした。

めくるめく異界で巻き込まれた大冒険の果て、義経はかけがえのない愛とともに、自分自身の価値を見出します。

魅力溢れるキャラクターたち。抱腹絶倒のコメディ。華やかなアクション。そして甘く切ないロマンス。

エンターテイメントの王道まっしぐらな面白さですが、佐月詩さんの世界の核には硬質な哲学がある。そこが最高の魅力です。

人間至上主義の文明から解き放たれて、読者も異界の旅人となるのです。

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