ホラーって、
グロかろうがなんだろうが大好き!鉈でも鋸でもどんと来ぉい!ってタイプの人と、
こ、怖いよぉ。でも怖いもの見たさで見ちゃう……っ!!!って人がいると思うんですよ。
で、私はどちらかというと、断然後者!!
もう怖くて怖くて早速今日の夢にも登場するんじゃないかって、いまから寝るのが怖いくらいなんですけど。
でも、これは本当に止まりませんよ。怖いけど止められない。
少しずつ読もうと思っていたのに、気付けば……!という。
抜け出せません。
この村からも、この小説からも。
『終わり』が来るまでは。
とんでもない作品に出会ってしまったと震えます。夏に読めば良かった!
車に乗って、気ままな二人旅をしていた、男子大学生達。
ところが道中、山で道に迷ってしまいます。
そこで辿り着いた先にあったのは、小さな小さな「灯籠村」でした……。
食事に寝床に、美女の奉仕。
まさしくそこは、地上の楽園。パラダイスの名に相応しい地でした。
二人は、まさに至れり尽くせりなおもてなしを受けますが……?
私個人の話を少しします。
私は今まで、ホラーというと、妖怪とか幽霊とか、そういう完全に人ならざる者のお話なのだと思っていました。
勿論それ以外のホラーがあることも理解していますが、潜在的な刷り込みのせいで、ホラーというとまずそれらの要素を連想しました。
ですが、今は違います。
ホラーというと、これからまず、この小説を思い浮かぶようになることでしょう。
それくらい、衝撃を受けました。
同時に、このような「ホラー」もあるのだと、学習をしたのです。
音の情報もなければ、視覚の情報もない。
言ってしまえば、想像力。読み手の脳内に、いかに上手く恐怖を浮かべられるかられないか。
ホラーの小説は、難しいときいたことがあります。
けれどこの小説は、本当に「怖い」のです。
読むのが怖い。けれども読んでしまう。ページを捲る手を、止めることができない。こんなに怖いと思っているのに。
これこそが、私の求めていたホラー小説だと直感しました。
何かおかしい。主人公と共に、読み手にも小さな疑問が現れます。
気のせいだと思いたくても、その疑問は消えるばかりか、どんどん膨らんでいく。
じわじわと追い詰められていくような。
そして気がついた時には、読み手に逃げ道は残されていないのです。
うまい話などこの世にあるはずもありません。
が、まさかこのような裏があったとは、と読み進めていく内にまさに「ぞっ」としました。
ずっと背筋は凍りっぱなしです。
村に隠された、底知れぬ闇。
そして人間が人間である以上抱えている、闇。
読み終わった後、体の細かな震えが止まりませんでした。
ただの、普通の、ホラーと聞くと皆さんが思い浮かべるようなホラーとは、
違うものが読みたい。
そういうのを求めている方は、ぜひこの小説をお読み下さい。
ちなみに、一気読み推奨です。
というより、途中で切り上げるなんて、まず出来ないと思います。
あなたもぜひ、この「灯籠村」に、お越し下さいな。
少しネタバレを含みます。
夏休みを利用して、車で気ままに旅をしていた二人の男子学生。しかし彼等は山中で迷い、ある村にたどり着く。
せっかくの旅行なのに、こんな事になって災難。と思いきや、その村は美しい女性たちが住まい、彼等を歓迎してくれる夢のような村だったのです。
寝床や美味しい食事を用意してくれて、温かい温泉にも連れて行ってくれる。しかもそれらは全てタダ。めったに人のやってこない村を訪れた彼等に、村の女性たちは手厚いおもてなしをしてくれたのです。
まるで天国のような村、パラダイスだ。だけど、こんなうまい話があるのでしょうか?
道に迷ってたまたまやって来ただけなのに、度を越えたおもてなしを受ける。その時に考えることは主に二つ。
一つがなんて良い村だと思ってこの幸せな時間に身を委ねる。一つがこんなに良くしてくれるなんておかしい、何か裏があるんじゃないか?
あなたはどっちだと思いますか?ネタバレになってしまいますが、ホラーと言うジャンルから想像つく方もいるでしょう、裏あります!
しかもこれが、相当キツイ裏なんですよ。パラダイスが一転、こんな村来るんじゃなかったと絶望するほどの。
村の真相を知ってからは恐怖の連続です。
この村の人達の恐ろしいこと。特にある一人の女の子が与えて来る恐怖は、「もうやめてくれ」と叫びたくなるほど。人間ってこんなに怖いモノだっけ?
追い詰められていく二人の学生、果たして彼等は無事に村から出ることが出来るのか?
ホッとしたと思ったらまたすぐに恐怖が迫ってきて、本当に最後までハラハラさせられっぱなしのお話です。
「古代に造られた地下神殿」とか「古流剣術を密かに伝える剣道場」みたいに男にとってどうにもロマンを掻き立てる舞台や状況というものがあります。
この小説もその一つの形と言えましょう。
滅多によそ者が来ないさびれたような山奥の村。
実際昔はそういった場所に旅人が訪れると新しい血を取り入れるために
若い女が夜伽に寝所に忍んで来る、なんて話もありますし、
島全体が遊郭だという村の話も聞いたことがあります。
そんな男の夢を形にしたような世界ですが、
山村には同時に陰鬱で閉鎖的なイメージも付きまとうものです。
この物語の主人公たちも「信じられないくらい良い思い」をするのですが
「うまい話には裏がある」という現実も忍び寄ってくるのです。
筆者はそういう読者の期待と不安を見事に裏切らずに
描ききっています。
結末が楽しみです。
豪華な精進料理に、美女による奉仕、お代は一切頂きません!
その村は男性にとってのパラダイス!
……になるはずでした。
しかし、この作品のジャンルは「ホラー」。楽園の裏には地獄が待ち受けています。
読み進めていると、序盤は村人たちの怪しげな言動をちょこちょこ見るのですが、女性たちはなかなか狂気を出してこない。
「お、これはついに犠牲者か?」と思っても、その人物は後でひょっこり出てきたり、惨劇を渇望する自分のような読者を焦らします。
しかし、やっぱり後半は惨劇が行われていて一安心。読者を焦らすのも、この村に暮らす女性たちの風習であり、サービスなのです。
旅行中偶然、灯籠村という村に立ち寄った大学生の拓海と茂木。その灯籠村と言うのが本当に良い村なのです。
宿に泊まればお代はいらない。食事は豪華なものばかり出てくる。まさに至れり尽くせり、ここは桃源郷か天国か。
……でもちょっと待って下さい。いくらなんでもそんなうまい話がそうそう転がっているわけがありません。
楽しい事ばかりが描かれているはずなのに、なぜだか読んでいくとおかしなところが目についてきます。実はこの村ヤバくないか?そうは思ってもなかなか種明かしはされず、ただ不安だけが積み重なっていきます。
果たして村が抱えている秘密とは何なのか?拓海と茂木は無事に村から出られるのか。
怖いのに真相が、そして二人の今後が気になり、読むのがやめられなくなってしまいます。
主人公・拓海と友人・茂木の二人は、とあることがきっかけで『灯籠村』なる不思議な村に招き入れられたところから、既に怪しい香りが漂います。
というのも、異様なくらいの高待遇!
豪華な食事に素晴らしい温泉に無料の宿泊、それだけではなく美しい女性による夜伽まで!!
その内に茂木の姿が消えて、物語はどんどん不穏な空気に満ちていきます。
コメディもとても面白いのに、ホラーでもこんなにも心を惹き付けるとは……てるまさんの筆力は、本当に恐ろしい!!
閉鎖された空間で、じわりじわりと忍び寄る恐怖に、いつの間にか囚われてしまう――徐々に追い詰められていく拓海のリアルな焦燥感を、美しい筆致で是非味わってみて下さい!
あの日……私は、すっかり忘れていた父の誕生日プレゼントを買うために家を出ました。
しかし、そのときまだ朝の8時。店はまだ開いていません。
ああ、困ったなあ。そうだ、店が開くまで、小説を読もう。
そうして、この『灯籠の村』を読み始めたのです……。
ああ、それからのことは、恐ろしすぎて言えません!
大学生二人が、ややムフフな目的で行った旅行先……雨の山道、ガス欠の恐怖、そして見えた一筋の光。
そう!それはまさしくホラーの導入!これはホラーですと言わんばかりの王道な導入!
その時点で、私はすっかり捉われていたのです、この村に!
そして見たのです……
エロス
その真髄を。
ホラーといえばエロス。エロスといえばホラー。
どこまでも王道を突いてくるこの作品。
それが、上手い。上手すぎる。
なぜ、なぜ止まらないの、ページをめくる手が!?
私は焦りました。いつの間にか、店が開く時間は迫っています。なのに、ページはまだある。
いけない。
私は、父の誕生日プレゼントのために……ああ、でも……
やめられない止まらない!!
……気づけば、最新話まで読み終わり、そして、レビューまで書いていました。
もはや、父の誕生日プレゼントなどどうでもいい……。
なんて、なんて恐ろしい小説なのでしょう。
時間のないときにこの作品を読んではいけません。
決して。
読み始めたら最後……あなたには、逃れられない恐怖が待っています。
そう……
気づいたら一気読みしているという恐怖がね!!!!
旅行中、偶然が重なってとある村に立ち寄った大学生の拓海と茂木。
その村でもてなされ、なんだか夢見がちになっている二人ですが……。
いや、良く考えて、と警告したくなるのは、私が女だからですか?
このお話。
男性が読むと、別の風景が見えますか?
私の目に今から映ろうとする風景は、とても禍々しく、そして恐ろしいような気がしますが。
男性諸氏の目にはいかが映りますか?
この作者様は『コメディ』が大変お上手で、私はそちらの作品からファンになりました。
『イヤホン』など、ホラー要素のある作品がありますが、がっつりホラーカテゴリは今回が初めてではないでしょうか。
コメディがお上手な方はホラーもお上手。
今後の展開に眼が離せません。