「落としましたよ」から始まる“せんぱい”と“後輩ちゃん”の物語
- ★★★ Excellent!!!
無線イヤホンのイヤーピースを拾ってくれた同じ学校の、だけど知らない謎の後輩女子。彼女はイヤホンの主である井口慶太のことをあれこれ知りたがる。お互い様だということで、ふたりは1日1問、好きなことを質問しあい、それについて絶対答える約束を交わす。
まず目を惹かれたのは、“後輩ちゃん”こと米山真春さんの「あの……」からの「これ、落としましたよ。せんぱい」です!
知らないことを知り合っていく展開なのに、最初から慶太くんのこと「せんぱい」って知ってるんですよ。出会い頭にいきなりやられました!
そしてひとつのエピソードを慶太くんと真春さんの両視点から綴る構成なんですけど、慶太くんの男子的ひねくれっぷりと真春さんの乙女的な突進ぶりが、じれったくも絶妙な距離感を見せてくれて――
なんでしょう、ある意味決闘って風情? どっちがどっちにとどめを刺すのか気になって、ついつい読み進めさせられちゃうんです。
急がないし焦らない、でもずーっと甘々な恋の戦記。思いっきりおすすめです!
(味があるから人気作! 濃さと厚さの4選/文=髙橋 剛)