今夜もおいしくお酒を飲むために――!
- ★★★ Excellent!!!
31歳になった頼子は実家から会社へ通っている独身女性。ちゃんと動いてはいるものの男性とのご縁はなかなか結べず、結局は仲の良い友人と過ごすことになってしまっていて。でも、そんな彼女が飲む酒はいつだって最高においしく楽しいものなのだ。
主人公の頼子さんは愛酒家ですが、仕事でイラッとしたり、他人発の難題に巻き込まれたりと、しがらみから逃げられないストレスフルな日々を送っています。このあたり、実にリアルで身につまされますねぇ。それこそお酒で発散したい夜もありますよ。
でも、彼女はそれだけで終わらせないんです。人生の酸いも甘いも肴に変えて、おいしい1杯で心身を満たす。この姿勢、恰好いいですよね。
それだけではありません。こうした物語はなにを飲食するか、どうおいしいかで止まってしまうことが多いのですが、この作品は飲食へ至るまでの物語がしっかりとおもしろくて、だからこそお酒というカタルシスが一層際立つのです。
キャラよし、ストーリーよし、お酒よし。三方よしの赤裸々独女物語です。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=高橋剛)