多量の食餌


 好きなものを際限なく食べることの幸せ。


 帰還後、瑠美はその足でラーメン屋に行った。無論、おやつだ。

 麺の大盛りに、卵とチャーシュー追加。瑠美にかかれば、このくらい楽勝である。

「ごちそーさまでしたぁー」

 ペロリとどんぶりを空にして、瑠美は携帯電話で時刻を確認した。大丈夫、まだ夕飯まで時間はある。

 何人か友達を呼び出して、スイーツ食べ放題の店を予約した。お金なら心配はいらない。口座にはママからのお小遣いが使い切れないほど入っている。

 店ではしこたまケーキを食らい、パスタも全種類いただいた。

「ルビーよくそんなに入るねー」

「いやーこんくらい余裕っしょ!」

「またデブるよ?」

「ちゃんとダイエットしますよーだ」

 友達と別れてからコンビニに寄り、ポテトチップスを五袋購入。部屋で一袋あけたところでパパが帰ってきたので、家族で夕飯に出かける。肉厚のステーキを綺麗に平らげると、さすがに腹がくちくなってきた。

「ふぃーお腹いっぱい」

「珍しいな、ルビーちゃん」

「今日はちょっとねー」

 しかし家まで車に乗っているうちに消化が進んだのか、寝るまでにポテチをもう一袋とビール二本を空にする余地はあった。


「むふふー」

 瑠美は満ち足りた気分で、大きなベッドに横たわった。あと三日もこんな生活を続け、しかもそれで感謝されるなんて。

「ウケるー。これであたしも救世主かぁ」

 明日も大学をサボって、カロリーのあるものを思いっきり食べよう。確か明日は佐川の言っていたグループ発表があるらしいけど、そんなの無視無視。そんで明後日は休日だからマジで気兼ねなく食える。

 何がいいかな。大きなハンバーグ、ふわふわオムライス、チーズてんこ盛りのピザに、熱々のたこ焼き。焼肉もたくさん食べなくちゃだし、中華も忘れないようにしないと。甘いものなら、アイス、クレープ、クリームたっぷりのパンケーキ。晩にはまた友達を呼んで飲み会をしよう。

 そしてこんな風に、何にもしないまま眠りにつくのだ。


 天にも昇る心地とは、こういうのを言うんだろう。

 ああ、人生最高。

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