厳冬の惑星

厳冬の惑星


朝の息吹に大樹が軋みをあげる頃

微笑む君の傍らで夜は眠る

幾億もの生と死を乗り越えて

君はここへやってきた


高く大きく積み重なった無名の功名も

二重の螺旋に記された記憶の片割れも

既に

赤茶けた地平線の彼方に置き去って

君は、ここへやってきた


そして、歴史を知った


幻想なる草原より

壊れゆく君の叫び声が聞こえる


あらゆるものが流れゆくこの場所に

手探りで限界を捜し求めた君の姿は

その掌の中に消えうせた


創造されたものは無残に崩れ去った

そして、破壊とともに

または闇の中の暗闇とともに

君は生まれた


ぶつかり合った粒子が輝く


はじき出された光は

君の小さな喘ぎを

暗い厳冬の夜空に映し出した

太陽から吹く風が

君の衰弱した表皮を叩く


それでも君は何かを守ろうとして

そこに宿る命の幾分かを削り取る


守護を宿命づけられたもの


惑星は

運命を決するときのみ回帰する

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