父殺しの系譜

祖父がどこからか連れてきた15歳の少女ヨリは二階に住みついた。生活感がまったくなく、相手の男に合わせ、受け入れる女性。
父も自分も、一階から天井を見上げながらその天上の女性を手に入れようとする。

親子三代に渡るヨリの奪い合い、性描写、ヨリと対比される地上の女性に向ける侮蔑の視線。内容的にはセンセーショナルだが、この話の本筋は別のところにある。
最終話までくると、下世話な興味混じりで読んでいたこの小説が、男性なら逃れられない命題をはらんだ物語であったことに気づく。
純文学の名短編。