単館系映画の現代劇を観ているように

一見バラバラに見えるモチーフがつながり合い、物語を形作ってゆく気持ち良さはオカワダさんの作品の持ち味だと感じます。先日奇しくもウォン・カーウァイの「恋する惑星」を観たばかりなので、桃の缶詰のくだりにはクスッと笑ってしまいました。人魚の正体がなんなのか、そしてリンダという人物の核心に迫っていくことはできるのか……きっとこの物語は百子の嘘が散りばめられていて、本当のことを見極めようとしても言葉のパズルのピースが散逸してしまうように、本当の姿を見失ってしまうのだろうなと感じます。いつかご本をお迎えして全編拝読したいです。