オカワダさんの小説はどれも面白いのですが 初めて読むならコレかな、と強く推せるお話です。清潔感のある鉄板の青春小説だと思いますが、オカワダワールドを十二分に味わえますので、冒頭で気になったら、ぜひ全編読んでください。
一見バラバラに見えるモチーフがつながり合い、物語を形作ってゆく気持ち良さはオカワダさんの作品の持ち味だと感じます。先日奇しくもウォン・カーウァイの「恋する惑星」を観たばかりなので、桃の缶詰のくだりにはクスッと笑ってしまいました。人魚の正体がなんなのか、そしてリンダという人物の核心に迫っていくことはできるのか……きっとこの物語は百子の嘘が散りばめられていて、本当のことを見極めようとしても言葉のパズルのピースが散逸してしまうように、本当の姿を見失ってしまうのだろうなと感じます。いつかご本をお迎えして全編拝読したいです。
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