トリックスターは二度死なない
◆
〈光の力〉は自身らを消滅させられる
あの場に現れた二人の女性――ダイアンとケイトのどちらが
しかし、
どちらにせよ、スプーはレイヴンズヒルをただちに離れるべきと考えた。
『あの
スプーとネクロは同じ
それは、視認できないほどの〈闇の力〉を
ただ、それも距離はせいぜい数百メートルが
スプーは魔導士に『
西地区までやって来たところで、相手からのかすかな信号をキャッチした。ニオイをたどるように、その場へ向かう。
それを強く感じた
何をどうしたらこうなるのかと思うほど、死体はむごたらしい状況だ。〈闇の力〉が強くただよっていたが、死体そのものからは何も感じなかった。
「スプー、スプー。こっちだよ」
『エーテルの怪物』
ネクロはトランスポーターが捜索しに来た時にそなえ、そこで身をひそめていた。
「何だ、このザマは」
「言っておくけど、魔導士どもにやられたんじゃない。トランスポーターに裏切られたのさ」
「……トランスポーターに?」
「それだけじゃない。あいつは『あの御方』をさがしている」
スプーたちにとって、トランスポーターもウォルターと同様に障害の一人。いずれ、始末しなければと考えていたが、『最初の五人』には
巫女の命をねらい続けるため、彼らは使える
ネクロは
「どうする? 始末するかい?」
「お前が死んだと思っているんだろ? だったら、ほうっておけ。今、あいつに手を出したら、ローメーカーまで敵に回しかねない」
「わかったよ。ただ、あいつをやる時は、私にやらせてくれ。それだけは絶対にゆずれないよ」
「好きにしろ。ただ、トリックスターにだけは手を出すな」
「……どうしてだい?」
ウォルターとマリシャスの『同化』について、スプーは伝えるべきと考えたが、やはり、短気で口の軽いネクロを信用しきれなかった。
「いずれ話す。とにかく、やつには手を出すな」
「で、そっちに何か収穫はあったかい?」
「まだ確信は持てないが、『
「へぇー、やっとか。これからどうするんだい? あの女とさっそく戦うのかい?」
「いや、ローメーカー
ふいに通りの先に魔導士が現れたので、スプーは身をひそめた。
「サイコはどうなった。やはり、ここへは来ていないのか?」
「さあ、会ってもいないし、あいつらもどこにいるかわからないという話をしてたな」
別々の国で活動していたため、スプーとサイコは
「それより、新しい『
◆
『転覆』直前、マリシャスは
計五体いる〈
マリシャスは『
例をあげれば、『誓約』のメンバーから自身の名を
そのため、『転覆』直前に何があったか、正確に
あの日、トリックスターは一度死んだ。
それを巫女が
トリックスターは二度死なない。巫女は心情的にトリックスターを殺せない。それこそ、マリシャスが
すなわち、トリックスターは考えうる中で、最も安全かつ、最も巫女を
二度と同じ
その日が来るまでマリシャスは静かに眠り続ける。
真夜中のトリックスター mysh @mysh
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。真夜中のトリックスターの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます