第30話新生01小隊
フロウの大襲撃から一週間がたった。
エモンの損害はロードのオーバーヒートとファーストのブレイブが全て大破したのに対しフロウはロードの無限距離熱光線により被害が甚大で、いつ白旗を上げるかわからない状況だった。
フロウに大打撃を与え、それと同時にエモンを全力で守り切った功績としてエルとカレンの階級が昇級。エルが中尉、カレンが軍曹となり、ファーストの英雄として称えられた。
英雄となったエルは自慢したりせず、いつも通り部屋で少女の写真集を読んでいた。
「やっぱり、イレイと姫様が一番だな」
エルは写真集を隠すと部屋を出た。
隊舎を出て格納庫に着くとそこには新品のブレイブの姿が目に映る。
「あ、隊長。おはようございます」
「おはようイレイ。新品のブレイブが到着したんだな。まぁどうせ使わないと思うけど」
エルは背伸びをしながら新品のブレイブの隣に鎮座しているロードを見た。
最後までボロボロになりながらもエルと共に戦い続け、最後は思いに答えてくれたもう一人の相棒であるロードを見てエルは誇らしいと感じてしまう。
ロードの隣には同じようにボロボロのクレイクが鎮座している。
ネロはエルが保護して急いで精密検査をしたのだが、エルと同じように結晶化されていることはなく、それに関してはクレイクにお礼を言わねばならないのだろう。
エルがロードを見ているとこちらに向かってくる足音が聞こえてくる。
「え、あなた。その恰好……」
隣でイレイが驚愕の声漏らしているのを聞いてエルはそちらに振り返った。
そこには軍服を着たネロが立っていた。
「姫様、お体はご無事なのでしょうか?」
「大丈夫。後姫様言うのやめて。私そんな立場じゃない」
ネロは表情を一つ動かさずエルに答えた。
結局クレイクから救出したネロは洗脳されており、三日かけて洗脳を解いても記憶だけは治らなかった。
しかし、エルのこととロケットに関しては曖昧だが覚えているらしい。
「それにその服は? 私が上げた洋服は着ないのですか?」
「エル、いやらしい目で見てくる」
ネロの反応を見て肩を落とすエル。
「まぁ隊長が変態なのは変わらないですからね。お互い大変でしょうけど頑張りましょうねネロさん」
「うんイレイと一緒に頑張る」
ネロと会話するイレイを見て絵になるなと心の中で思うエル。
そこにカレンが書類を持ってエルの元に歩み寄ってくる。
「ここにいらしたのですか隊長。司令官から連絡です。本日付けを持ちましてネロを01小隊へと配属。階級は二等兵だそうです」
カレンからキキョウの言伝を聞いたエルは口を大きく開けて驚きを隠せなかった。
「はぁ! それはどういう意味だよ! 何で姫様が軍に所属しなくちゃいけないんだよ!」
「本人の意思らしいです」
カレンの言葉を聞いてネロの方に振り向く。
「誠ですか姫様」
「うん。クレイクを動かせるのは私しかいないみたいだから。それにエルと一緒に行動すれば記憶を戻せるかもしれないって思ったの。だからキキョウにお願いした」
エルは頭を抱えて大きくため息を吐いた。
「あまり危険にさらしたくないのに……」
落ち込むエルにイレイが肩に手を置く。
「そう落ち込まないでくださいよ。もう戦争もないでしょうから危険なんてないですよ」
イレイの言葉にエルは「そうだな。それに万が一危険があれば俺が全力で助けに行けばいい話だし」とポジティブに考えた。
雑談を交わしているとカメラを持ったジュウゴが歩み寄ってくる。
「そうかネロちゃんも01小隊配属か。なら新生01小隊として一枚撮っておくか?」
ジュウゴの提案にエルは乗っかり、ロードとクレイクの傍に全員集まらせる。
「カレンは俺の後ろで、ネロとイレイは俺の隣な。おもいっきり抱き着いてきたら俺嬉しいんだけどな」
「何を言っているんですか隊長」
「エル……」
二人の蔑んだ視線を浴びながらもエルはロードの前に立った。
「抱き着きはしないですけど」
「手なら繋いであげる」
そう言って二人から手を差しだされ、満面の笑みになるエルはネロとイレイの手を優しく握った。
「ほれ、撮るぞ!」
ジュウゴの声にエルはカメラの方に向いた。
「ほら、皆笑え! 満面の笑みでな」
エルに言われ、笑みをぎこちない笑みを浮かべるカレンとネロ。そして最高の幸せを手にしたエルと相棒のイレイ。
そんな新生01小隊に向かってシャッター音が鳴り響く。
エタニティロード ロリコン隊長とロリ整備士 青島水樹 @Aosima
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます