お題の制約を感じさせない一作。

 お題に対して、一つの物語が完結している作品。一つ一つの作品は独立した短編としてででも読むことができるが、その短編を通読すると長編としてでも読むことができる。
 一話一話の最後に、暦が付いていて、それによって全体の話の流れをつかむことができると言う面白い仕掛けがある。
 「お題」と言われると、それに制約が生じ、文章と馴染んでいなかったり、無理に「お題」をセリフとしたりしているというイメージがあったが、この作品に関しては、そのような心配はなかった。一話一話が秀逸で、「お題」が作品の中に溶け込んで、「お題」の存在を忘れさせてくれる。この作者様の高い文章力と表現力の賜物だろう。
 まるで、アンカットの電子版のような感覚の異世界ファンタジー。
 是非、ご一読ください。