真夏の笛に 新月の舞う

作者 水戸けい

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目次

完結済 全82話

更新

  1. 第一章
  2. 「ああ、つまらない」
  3. 「せっかく来たのに、屋敷の外に遊びに出られないなんて」
  4. 朔はすっくと立ち上がり、簀子を駆けだした。
  5. (絵物語に描かれていた、カエルにそっくりだわ)
  6. 「これからしばらく、こちらに住まわせてもらうわね」
  7. (キレイな人)
  8. ドキリと朔の胸が痛む。
  9. 第二章
  10. (少々どころか、かなりの変わり者らしい)
  11. (ウワサが本当かどうか、たしかめてやる)
  12. (朔姫を、俺の妻に)
  13. 朔という姫は、ほんとうに変わっている。
  14. (どうやら俺は、姫を本気で妻にしたいと思いはじめているらしい)
  15. 「姫様は、文を一通も開いていないのか」
  16. 真夏は胸をなでおろした。
  17. 第三章
  18. 「疲れたんでしょう。私が、普通の姫とは違うから」
  19. 子どもたちのたくましさに、朔は感心をした。
  20. 「姫様の品位にかかわるかと」
  21. 「あんな人が義理の父親になるなんて、ごめんだわ」
  22. 第四章
  23. (これほど胸が苦しくなったことはない)
  24. (あのような信頼を、俺にも向けてくれれば)
  25.  芙蓉もどうやら「変わり者」らしいと、真夏は判じた。
  26. 心配そうに、芙蓉が朔の手をにぎる。
  27. 「落ちて溺れられるよりは」
  28. 第五章
  29. (恋……恋ですって?)
  30. (お姉様たちのようになるなんて、嫌)
  31. 彼の家柄が、朔の家柄とつりあうものであれば。
  32. (恋をするなんて)
  33. (お父様が、失脚?)
  34. 「夢でも、冗談でもございません」
  35. 「姫様に、秘密にしておりました」
  36. 「私は、なんて愚かなの」
  37. 「大殿様は、姫様に希望を見たいのです」
  38. 第六章
  39. (俺は、姫を恋しく思っている)
  40. 「左大臣様、失脚にございます!」
  41. 「おまえは、大伴の……?」
  42. 言いかけた真夏は息を呑んだ。
  43. 「本気で姫に惚れているのなら、守ってやれ」
  44. 「権力や金銭を使うことだけが、守るということじゃない」
  45. 「俺が姫を守るために、使わされたと?」
  46. (そうだ。俺は、ここにいる)
  47. 第七章
  48. 唐突に、真夏の姿がたのもしく脳裏に浮かんだ。
  49. 目の前に、真夏が立っている。
  50. 「俺が姫を支え、守り抜きます」
  51. 第八章
  52. 彼女の気丈さをいじらしく、少々うらめしく感じた。
  53. 真夏は気付き、胸を痛めた。
  54. 真夏は、からりと笑って笛を出した。
  55. (姫を救える術を、俺は持っている)
  56. 「お姫様、さみしくないのかな」
  57. 真夏は書きかけの物品帳を見せた。
  58. 「俺は、俺の心に従って動いている。誰に命じられたわけでもなく」
  59. 「姫は、恋に臆病であらせられますよ」
  60. 第九章
  61. 朔はかえって心が落ち着いた。
  62. (この別荘の主は、私ですもの)
  63. 朔は自分がたのもしく感じられた。
  64. (真夏は、私のことを――)
  65. 朔は無心に、笛の音とたわむれた。
  66. 「朔姫、俺は……」
  67. 第十章
  68. 彼らと共に野山を歩き、小舟に乗った。
  69. (まずは、官職を得ることだ)
  70. (自分を奮い立たせようとしていたのだ)
  71. 「柳原様の迎えですって?」
  72. 男の眉が不快そうに痙攣した。
  73. どうしてと真夏が言う前に、芙蓉が声を出した。
  74. 「お願いだから、今は従って」
  75. 第十一章
  76. 青年の名を呼び、朔は紙の上に指を滑らせた。
  77. 困惑する朔の手を、芙蓉がにぎった。
  78. 「ああするしか、無かったの」
  79. (芙蓉も、心が疲れているのだわ)
  80. (恋などしないと、誓ったはずなのに)
  81. ぞわりと朔の肌に怖気が走る。
  82. 「そんなこと、私は承諾していません」
  83. 第十二章
  84. 真夏はあせっていた。
  85. 「知らないほうが、どうかしている」
  86. 「その笛を、今度の祝いの席で帝に献上するんだよ」
  87. 第十三章
  88. 「薄情なものでございますね」
  89. (きっと、私に愛想をつかしてしまったんだわ)
  90. それはまぎれもなく、真夏だった。
  91. (真夏は、今でも私を大切に思ってくれている)
  92. 「芙蓉、これは……これは、どういうことなのかしら」
  93. 朔はよろこびの涙を浮かべた顔を上げた。
  94. 終章
  95. 「夢でも見ているのかと思ったわ」
  96. 目じりをなごませた芙蓉に、朔は照れた。