「ポップでキッチュなゆるふわスイーツ系~」に偽り無し
- ★★★ Excellent!!!
この作品の第一印象はスゲー、ウィットが面白え、という所です。ちょっとでも読んでみたら分かるのですが、一話一話に必ず読者をクスッとさせる梅田と三人の怪盗たちのやり取りがあります。
こういうキャラの掛け合いを見て、作者様が本当にこの四人を好きなんだろうな、というのがヒシヒシと伝わってきました。
話のタイトルも秀逸です。第一話の6番目に「決して怪しいものではござ」というタイトルがありますが、これが雄弁にこのお話の作風を語ってるようです。
「ポップでキッチュなゆるふわスイーツ系ファンタジーラブコメ」と作者様が銘打っていますが、その言葉に偽り無し、軽妙でシャレている語り口を楽しめます。しかも質も量も優れてるんだ嫉妬しそうなほどです。
もう一つはこの作品の読みやすさです。アマチュア作家が批評しあう場では「作品の読みやすさを讃えられた時は、他に讃える所がない作品ということだ」なんて言われることがありますが、自分は違うと思います。
読みやすさというのはネットで公開されてる作品の中でかなり大事な所だと考えます。
文章が平易過ぎて、単純でありすぎれば安っぽいものになってしまうし、逆に文章に難解な言葉を並べ立てる冗長な文では読むのが嫌になってしまいます。その塩梅をどうするかが、物書きさんの悩みの一つのなりますが、この作品はそれをうまく調整しているように感じます。警邏、という難しい単語がさらっと出てくるけど、他は易しく書かれているところがとても好感があります。
最後にキャラクター達の魅力です。これは他の方も書かれていることですが、自分は特に御影さんが印象深いです。第三話でいつもは対立関係にあるヒョーゴ警察と西宮カレン怪盗団が、一緒に料理対決をするのですが(敵対してる両者が協力関係に関係性が変わってグッド。一時的に敵が味方に変わるの大好きです)ここで御影さんがクローズアップされます。
そこで垣間見える御影さんの警部への愛情がとてもメシウマでした。あ、いつもは警部の陰に隠れがちでクールな人だけど、この人も一人のキャラクターとして感情を持って動いているんだなあという所が分かる名シーンです(怒鳴ったり包丁出したりね。そして最終話のクーデレぇ……)
なんというかまとまりのない文章で申し訳ないのですが、まあ、そこは勘弁して下さい。改めて音海先生、執筆お疲れ様でした!
後帝都コーベということは神戸に皇帝がいるのか? とか、コーベ・マフィアのおしりの入れ墨とか設定が気になりました……。