モノを作る人が勇気づけられる物語

 久しぶりに読み返してみて、やっぱり心に刺さるお話。

キャラが魅力的。こういう奴らが身近に欲しいわ! という奴ら。同姓なら友達、異性なら恋人として欲しい人間をキャラクターにせよと言われるが、三人とも自分に深く刺さったキャラです。

 陽人 主人公のヘタレ感(エロ本見て慌てるとことか)が笑える。すみれや流にからかわれてるのが楽しい。
 クリエイター志望の人間は陽人の悩みに共感出来るのではないでしょうか。

 すみれ 結構作中が重い内容であるが、すみれちゃんの明るさでシリアスになりすぎていない。というかすみれちゃんスゲー良いやつ。「破廉恥だぞ!」とか陽人に言われてるけど、主人公に変化を与えるヒロイン。

 流 情に厚い。普段は結構クール(現代の侍)なところがまたギャップがあって良い。陽人のために中傷した奴ぶっ飛ばそうとするところが男気ある。
節約家っていう設定もリアリティがあって良かった。
武個人のエピソードも読みたかった。節約家としての流を掘り下げたのを読んでみたい。

陽人個人と同じような悩みを持っていたことがあるから「なんじゃこりゃ? 下手クソだなあー」からのくだりは見るのが辛かったです。
不特定多数、匿名の声、という記述はネットの投稿サイトを想像しました。心無い言葉を浴びせかけられても、しかし腐ったり、塞ぎこむでもないという選択を陽人に与えていて良い仲間だと思います。スッと煙草を差し出す励まし方もカッコイイ。三人とも仲間想いでこういう友だちが欲しいなと感じました。
キャラクターの魅力で引き込まれ(いきなりのダジャレ)、また物語で勇気づけられる思いがした。

あとすみれちゃんの末路が……。作者さん鬼かよって思いました。幸せになってほしかった……。なってると信じたい。
青葉先生の作品は他に評価されてる作品が一杯ありますが、個人的には今作が一番グッと来ました。