幽霊画

冒頭で申し上げておきますが、このお話しは、私自身の身に起こった、不可解な、実話なので、一切の創作や、脚色を加えずに事実のみを綴らせて頂いております。ですので、恐怖を感じる事が出来な いとの御意見は御容赦願います。しかし、よくある、何処の誰かすら、ハッキリとしない、『友人が』『知人が』の体験談もどきで始まるお話しでは無く、私の身の上話でごさいます。


この話を、するには、先ずは4年前の6月頃にさかのぼります。私は、以前より趣味で、古い、幽霊画、妖怪画を蒐集致しておりまして、 幽霊画や妖怪画は本来、寺や、博物館にある為、当時より、各地の古書店、骨董商等に声掛け したり、インターネットを検索したり、そんなある日、京都の骨董商に私好みの幽霊画があるとの情報を得た私は、早速、その骨董商に電話をかけました。突然電話をしたせいか、骨董商の御主人は私に、『アンタ、この幽霊画の事、一体どこで聞いた?、本当に買うのか?』等、私を質問責めにしてきた。しかし、どうしても、幽霊画の欲しい私は、値段がついて居ないと言われた事を、これ幸いに、『御主人の言い値で購入致します』と返した。しばらく受話器の向こう側で、沈黙が続き、私も沈黙をま守り、交渉の是非を、ただただ待った。先に沈黙を破ったのは、受話器の向こう側の御主人だった。『値段何てどうでもいい、ただ、いくつか条件があると条件を提示された。』1.絶対に返品は認めない。

2.購入金額は、人に言わない3.領収書の発行はしない4.絶対に粗末に扱わ無い事 と、私には、容易に守る事の出来る内容でございました。当然私は、2つ返事でこたえ、交渉が成立し、数日後待望の幽霊画が到着いたしました。早速梱包を慎重にとき、中から、現れた、時代のある幽霊の図と毛筆で書かれた白木の箱から、軸を取り出すと、ほのかに、線香の香りが漂ってまいりました。軸を伸ばし、幽霊画を見た瞬間、私は一瞬で、心を奪われました墨のみで畫かれ、着色も無く、特に血が流れたり、生首を掲げたりしてわざとらしい恐怖の演出は一切無くただ、その恨めしそうな目つきだけで、人の心に恐怖を刻み込む正に理想の幽霊でございました。しかもその目は、どの角度から見ても視線が合ってしまう技法が施されておりました。私は、床の間に飾り暫く絵の前に立ち尽くし、見とれておりました。


しかし、この幽霊画との出逢いをキッカケに、あんな出来事か起こる事を私は、知る由もございませんでした。


私の周囲に異変が起こりはじめたのは、その年11月半ば頃の事だった。珍しく、3歳からの幼馴染の道夫(仮名)から電話がありました。しかし、その声からは、涙ぐんでいるのがハッキリと伝わってきました。それでも、道夫は私に、『おう!久しぶり?元気だったか?あのよ〜俺、医者に年越せね〜かもって言われたよ!』といつもの調子でおちゃらけて話しました。私は察して、『どうしたよ?病気なのか?おめーなら死神も嫌がるから平気だろ?』とフザケて返しました。それから、道夫と浩二(仮名)と私の幼馴染3人で食事に行き、昔のように馬鹿騒ぎをして、道夫は、『またな!』と笑顔で後ろ向きで手を降りながら、駅の改札をくぐってゆきました。それが最後になるとは思いもせず私達は大騒ぎしながら見送りました。数日後道夫は、自宅の前で冷たくなっていた所を近所の住人に発見されました。


幼馴染の死を悲しむ間も無く 月日は経過して行ちます。新年を向かえ毎年、新年に妻と父と行く初詣は、幼馴染の死もあり、自重いたしました。しかし、恒例行事をやらないのは、父が可哀想だと言う妻の助言で、父に連絡を取ろうとした所連絡が取れないので、父のもとへ、妻と向かいました。父は、風邪を拗らせ入院しておりました。病院にお見舞に行き、私が、『大丈夫か?』と言うと、父は、笑顔で『大丈夫、大丈夫』と連呼し、写真を、撮ろうと言うので、父のベッドを囲み、記念撮影をいたしました。これが、元気な父を見た最後になるともしらずに…父は翌日、急変し、肺炎を拗らせ他界いたしました。


そして、その翌年に妻の祖母が、自宅で転び骨折したため、入院いたしました。そして、三月経ち、足の骨折が治りかけた頃、入院していた病院で転倒し、意識を失ってしまったと連絡が入り妻と慌てて、病院に駆けつけました。一命は取り留め、峠は超えたとの話に胸を撫で下ろし一旦帰宅いたしました翌日もお見舞いに行ったのですが、祖母は容態が急変し、一足遅く還らぬ人となっておりました。


そして、去年私と18年間連れ添ってくれた、旅行と読書が大好きだった妻も旅先にて他界いたしました。詳しい内容については、伏せさせていただきます。まだ妻が他界してから日が浅く、余りにも現実離れした数々の出来事が一年に一度起こり、私の中では、実感すら湧かず、未だ、まるで夢現つの様な気分で、毎日を過ごしております。


そんな最中、今年の初め、毎朝挨拶を交わしておりました、お隣のおばあちゃんが倒れ、現在隣の家は売り家となっております。


そして、今もその幽霊画は、私の家の床の間に大切に飾られております。

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幽霊画【妻を含め5人死にます…真の実話です…】 虚無 @Chin25454

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