〝薄皮一枚〟の絶望的な薄さと厚さ

愛とは何か? 語り手の少女・マルトにとってのそれは、どこまでもシンプルで、妥協のないものだった。ある出会いから、己の本性に気づいた彼女は……というお話。
マルトの愛はルッキズムここに極まれりという感じでしたが、彼女にどこまでも己を捧げたアルテもまた、まことに愛があると言うよりも、一つの依存関係に陥っているのだろうなという印象で、なんとも心苦しいお話。その点では、少女の語りを聞かされた第三者「私」ととてもシンクロする思いでした。

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