緊迫感、スピード感、知的な甘さ。切れ味の良い、大人の恋の物語。

都内の小さなコンサルティング会社に勤める主人公、南雲沙織。彼女の能力が買われ、ある大きなプレゼンテーションへ参加するチャンスが訪れた。しかしその日、会場である名古屋へ向かう途中、彼女を乗せた新幹線が集中豪雨に合う。予定は大幅に乱れる可能性が——大切なプレゼンに、間に合うか、間に合わないのか。
そんな彼女の一見不運でハードな1日と、ピンチの最中での出会いを歯切れよく描いた、大人の恋の物語です。

場面ごとのピンと張りつめた緊張感や、一秒も無駄にできない切迫感や躍動感が、無駄のない的確な文章で見事に表現され、読み手を最後まで決して離しません。
目の前の問題に冷静に立ち向かい、最後までベストを尽くし、決して諦めない彼女を待っていたものは——。

主人公の、仕事というものへの向き合い方の見事さ。そして、それが報われたような気持ちの良いラスト。15センチも知的でスマートに使われており、程よい大人の甘さです。
緊迫感やスピード感、知的な甘さ。切れ味の良い大人の恋が存分に味わえる、爽やかな読後感の物語です。

その他のおすすめレビュー

aoiaoiさんの他のおすすめレビュー1,160