玲瓏風靡。泡沫の空に桜花舞う。

 冒頭からいきなり心を捕らえてくる、『雅』という言葉そのままな風流で瀟洒な表現の数々。脱帽ものです。
 終始丁寧な話運びにより綴られる、人間と精霊の物語。
 人外を同じ人間として接するのか、はたまた人外を人外として認めるのか。
 人間と人間以外の交流が生み出す物語の魅力は、やはり普遍にして不変であると再確認させてくれる一作でした。
 強いて気になるところがあるとすれば、やや話のテンポが遅く感じられる程度ですが、その分しっかりとキャラクター達を掘り下げてくれるので、個人的には文句なしです。
 総じて、緻密に形作られた優雅な和風ファンタジーでした。
 美しい幻想譚を求めている方は、ぜひご一読を。

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