魔女は願いを叶えるだけ。後のことは知りません。

一年中冬が続く、とある寒い国の森の奥。小屋でひっそりと暮らしているのはものぐさ魔女のテナと、人間に変身することができる白熊のプーヴァでした。

普段は滅多に人がやってこない森の中。だけどそこに行けば魔女が願いを叶えてくれる。そんな噂を信じて、今日も誰かが小屋の戸を叩く。

テナは決して、悪い魔女ではありません。面倒くさがりながらも、なんだかんだで訪ねてきた人の願いを叶えてくれます。
ただ注意しないといけないのは、テナは願いを叶えるだけ。叶った後その人がどうなるかは、あずかり知らぬところ。「後の事は知らない」とほったらかしです。けどそれは決して、テナが悪いと言うわけではなくて、考え無しに願いをして叶ったところで、幸せになるとは限らない。これはそういうお話です。

各章ごとに様々な願いを持つ人がテナの元を訪れますけど、本当に多種多様な願いがあって、あっと驚く結末を迎えてしまう話の作りには感服しました。
依頼者の願いをテナが叶えて、その結果予想外の方向に話が進むと言うのが基本的な流れ。ですがパターンにそっていても、毎回個性豊かな依頼者が出てきたり、願いの内容がビックリするようなものだったりで、読む人を飽きさせません。

アナタもテナに、願いを叶えてもらいませんか? ただし叶えてもらった結果どうなるか。後の事は知りません。

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