架空満州国史! 老陰陽師と凄腕武侠がゾンビを迎え撃つ!
- ★★★ Excellent!!!
昭和11年(1936年)2月、満州国に異変あり。
まず新京(長春)方面からの通信が途絶えた。
次いで、同方面から「死霊列車」が到来した。
死霊列車からは「死体兵」が湧いて出た。
史実の20世紀前半によく似た、魔法や呪術が存在する世界。
とはいえ、陰陽師や密教僧などから成る「呪法兵」部隊は、
日露戦争後、火砲の発達した昭和10年代には時代遅れである。
そんな中に現れ、関東軍を翻弄したのがゾンビの大軍だった。
満州の怪事は日本本国は勿論、国連においても重大視され、
各陣営の思惑を巻き込みながら異様な事態を呈していく。
ゾンビと戦うべく日本本国から満州へ送り込まれたのは、
すでに引退した老陰陽師、小柄で古風な石光三郎「特佐」。
一方、現地に住まう中国人も事態を見過ごしなどしない。
秘密組織に属する巨漢の武侠、洪復龍が共同戦線を張る。
石光と洪の年齢差凸凹コンビが、渋くて微笑ましくて格好いい。
脇を固める登場人物は架空の人も史実の人もキャラが立っていて、
中国の説話・伝説を踏まえて語られるゾンビの首魁がまた強烈。
火砲、列車、戦車から五行説による異能バトルまで、展開が巧い。
私は20世紀史は詳しくないけれど思いっきり楽しかったので、
満鉄とか関東軍とか好きな人にはめちゃくちゃ楽しいと思われる。
陰陽師好きな人、武侠好きな人、ゾンビ好きな人にもオススメ。
元気で格好いいおじいちゃんが好きな人にも、全力でオススメ。