養女である妹への兄の思い。それはやがて深く、叶わぬ想いとなり…

桜井今日子さんの作品『君想フ銀ノ雨　君慕フ金ノ庭』を原作とした、二次創作作品です。
原作が、藤崎家へ養女としてやってきた恵子と兄の秀一郎それぞれの思いを綴るのに対し、本作では秀一郎の視点で物語が綴られていきます。

恵子を「恵」と呼び、妹として深く愛する秀一郎。彼は亡くなった母親と同様の病である結核を患っており、その将来にも夢を描くことができない。
しかし、そんな秀一郎の中で、恵子は次第に妹から一人の女性へと変わっていき——柊一郎の恵子への思いは、一層深く募っていく。

原作の持つ透明感や清らかさ、美しさ、切なさをそのままに、秀一郎の心情をきめ細かく描き出す作者様の筆力は見事です。

ぜひ原作を読んでからお読みいただきたい、儚く深い愛の物語です。